静岡県公立入試を徹底解剖!内申・学調で出願校は決まる

投稿:2024/05/06 更新:2025/08/29


こんにちは! でるてぃーです。

意外にも残酷な制度で有名な「静岡県公立入試」。その仕組みを徹底解剖しました。

高校受験を制するために必要な情報をなるべくお届けします。

1発勝負の残忍な制度

悪しき旧套?

静岡県の公立高校入試は1校しか出願できません。「1人1校」制。

また、静岡県には超高偏差値帯の私立高校が存在しません。というか偏差値60台が他県と比べて少なすぎる。

……それはいいとして、高偏差値帯の私立が少なすぎると皆安全圏の公立高校ばかり選びます。
その結果ふつうレベルの受験生がふつうレベルの公立高校から淘汰され、一つ下の公立高校を選ばざるを得なくなります。これは構造的な問題で、今更どうしようもない。

リスク極小で受かりたい

どの家も心は同じ。ふつう、「行きたい高校に行く」のではなく「絶対受かる高校に行く」ことばかり考えます。

中には、高偏差地帯を目指せる子や、安全圏よりやや高い高校を狙う子も確実にいます。
模試で最上位とかなら話は別ですが……どれだけ本人が強気でも、親心はいつだって不安です。

受験生本来の実力にふさわしくない高校に入学

上でも言いましたが、全体的に安全圏重視の風潮が強いんです。これにより、頭のいいヤツが頭のいい高校に入れず、将来の機会を失うということが起こります。

裏を返せば、テキトーに勉強した受験生がなぜか受かって、テキトーに高校生活を送るということになるかもですね。出願時の紙切れ一枚で、人生が大きく変わります。

塾に入らないと情報戦で既に負けている

集団授業にしろ、個別指導にしろ、何らかの塾に入っていないと受験情報って得られないんですよ。言ってしまえば

「塾で受験情報が売り物に出されていて、親御さんたちは平然とそれを買っている」

こういうわけです。


金がなければ塾に通えない。そして情報も得られず見事に受験でうまくいかない。もういやだこんな世の中!……という境遇であっても最低限の情報が得られるよう、この記事に色々したためておきました。

公立受験のスケジュール

さて、いろいろ愚痴を言ってしまい失礼いたしました(笑)。公立高校受験の大まかなスケジュールをまとめておきます。

2学期:調査書(内申書)が確定

イヤな単語が出ましたね。「内申」。各教科1~5点の評点がつき、それを合計したものです。例えば成績がオール3なら、内申点は27ということになります。3×9=27ですね。

そしてこの内申点なんですが、中3の2学期末の成績がそのまま内申点として確定します。つまり、2学期は何があっても死に物狂いで勉強しなければなりません。

早いうちから勉強の環境を作らないと、80%くらい運命が決まってしまう2学期で何もできず、わけもわからぬまま公立高校の選択権を大きく失ってしまいます。恐ろしいものです。

2月中旬:出願提出

実際に高校を出願するのは2月中旬です。国公立大学前期出願と比べると遅いですね。担任の先生は、真心こめて大安の日に提出してくれます。

2月下旬:出願変更

出願校を変えることもできます。変更はこの1回限りですが、大体の人はこのまま変えません。でも、定員割れに押し寄せたり、高倍率から逃げるようにして変更するケースもあります。したがって倍率の変化は予想できません。

3月の初め:検査日

3月の初めに待ちに待った入試(学力検査)があります。1日目は5教科で得点を競います。2日目は全受験生が面接を受けます。面接ではなくディベートを実施する高校もあります。

マナーがひどすぎなければ、所詮面接はいけいけどんどんです。医学部面接や入社面接とは違います。面接官が確認したいのは最低限のコミュニケーションですから、中学校や塾で実施される面接対策をこなして臨めばオッケー。

つまり、実質1日目の入試で90%決まります。それだけに絶対失敗したくない。

3月第2週:追検査日

何かしらあって本試験を受けられなかった場合、追検査が実施されます。が、正直なところあんまりいい印象を受けません。
追検査の問題が不明なうえ、合格率もあまり芳しくないためです。

ともかく、絶対風邪やインフルエンザ、コロナウイルスに感染しないよう、健康第一で過ごさなければダメです!

3月中旬:合格発表

笑いあり、涙あり、ビラ配りあり、場合によってはメディアの記者もいます。高校生スマホデビューに乗じて携帯業者もビラを配ってました。

合格の際には、中学校から受験校の入学資料が配られます。資料には、入学式までにやっといてねという課題が入っています。
不合格だと大体担任から電話がかかってきます。恐怖の電話です。

公立高校の一般選抜

お待たせいたしました。次は気になる選抜方法をご紹介します。

まず、2つの枠があります。それが

学校裁量枠・共通枠

です。それぞれどんなものか具体例を出す……前に注意すべきことがあります。

学校裁量枠・共通枠は高校側が勝手に選抜する定員枠

この学校裁量枠・共通枠は、別々に志願するものではありません。
皆平等に1校だけ出願して選抜されますが、その選抜方法を詳しく言ったものです。

つまり、高校側が勝手に

①学校裁量枠→②共通枠

という順番で選抜するというだけのことです。
学校裁量枠から漏れた受験生を、今度は共通枠でふるいにかける、といえば分かりやすいでしょう。

そして、学校裁量枠の基準は各高校が勝手に決めています。受験情報をしっかり入手しておかないといけないというわけですね。

学校裁量枠

文字通り、高校の裁量で受からせてやろうという枠です。基本的に何かに秀でていないとこの枠は使えません。

選抜対象は「全員」または「希望者」です。共通枠でふるいにかける前に、まず学校裁量枠で選考してもらうことで、少しだけチャンスが増えます。

希望者限定の学校裁量枠でもしこぼれたとしても、共通枠で選抜される権利を剥奪されるようなことはないのでご安心を。

この学校裁量枠は、大体「内申点が優秀」または「体育的活動・文化的活動が優秀」の2パターンです。このうちどれを採用するかというのは高校の裁量によるということです。


例.浜松商業高校(浜商)商業科

下を見てください。これは令和7年度(2025年,今年用)のものです。

三つもありますね。30%+5%+15%=50%でなんと募集人員の半分が学校裁量枠で埋め尽くされています。

なんで僕が浜商を例に取り上げたかっていうと、僕は趣味でそろばんをやってまして、珠算で高級~段位を取ってるヤツらが軒並み浜商珠算部に入るのを何回も見てきたからなんですよ。

多分ですが、このレベルだと学校裁量枠の条件を満たすので、この枠で入ったものと思われます。というかそろばん勢はみんな頭いいので共通枠でもいけそうですが。

話を戻して、Ⅰに文化的・体育的活動、Ⅱに商業の適性、Ⅲに内申優秀勢という三段構えが特徴の高校ということです。


例.浜松北高 普通科

ある意味で恐ろしいことに、学校裁量枠なんてものはありません。根がまじめでかつ、何かに秀でたヤツらが自然に出願してくれるからですね。

どうせ頭のいい受験生が集まってしまうので、内申点で選ぼうとあんまり関係ないわけです。そして受験者全員で共通枠のバトルロイヤルが繰り広げられる、そういう高校です。


共通枠

学校裁量枠から漏れた、あるいは学校裁量枠の希望をしなかった受験生たちで繰り広げられる戦いです。

共通と言っているだけあって、その選抜方法はどの高校も同じです。①第一段階選抜→②第二段階選抜→③第三段階選抜の順に実施され、最後まで残ったら不合格となります。

選抜に使われる資料は、受験生の調査書(内申点)・当日の学力検査・面接結果の3点です。ここでも内申点が重要な役割を果たします。


①第一段階選抜

人によっては戦慄を覚えるかもしれませんが、まず全員を内申点の順に並べます。
そして、募集定員の分だけ選考対象とします。

ここで、より具体的な設定を考えてみましょうか。
とある高校が、学校裁量枠の選抜を終了し、共通枠でふるいにかけようとしています。

【設定】
・学校裁量枠で合格した人を抜いた募集人員は300人
・志願者340人

この340人を内申点の高い順に上から並べ、上位300人に満たない受験生をバッサリ切ります。

ただし、正確には同点者も選考に含まれます。内申33まで数えると312人となる場合は、内申33をボーダーとして312人を第一段階選抜の選考対象にします。

【設定】
・学校裁量枠で合格した人を抜いた募集人員は300人
・志願者340人
・実際並べてみるとボーダー内申が33だった
・結局ボーダーまでの312人が「第一段階選抜」の対象

で、さらに複雑なことを言います。内申点で選ばれた募集人員分を、今度は学力検査の点数が高い順に並べかえ、上位75%程度を合格者とします。

つまり、上の例では312人が内申点で選ばれたので、その75%である

$312×0.75=234$

234人を合格者とします。おめでとう。この第一段階選抜に漏れた$340-234=106$人で第二段階選抜を行います。

【設定】
・学校裁量枠で合格した人を抜いた募集人員は300人
・志願者340人
・実際並べてみるとボーダー内申が33だった
・結局ボーダーまでの312人が「第一段階選抜」の対象
・234人が「第一段階選抜」で勝ち抜け
・ということは78人が残った(不合格にはならず、「第二段階選抜」へ)

②第二段階選抜

調査書に書いてある学習に関わらない内容と面接の結果で、募集人員の10%程度を合格者とします。ということは

$300×0.1=30$

30人が合格者ということです。部活で〇〇大会出場、何か特技をもっている、あるいは奉仕活動などの善行といった記載事項が評価されます。そして残りは

$106-30=76$

76人ですね。このメンバーで最後の戦いが行われます。


【設定】
・学校裁量枠で合格した人を抜いた募集人員は300人
・志願者340人
・実際並べてみるとボーダー内申が33だった
・結局ボーダーまでの312人が「第一段階選抜」の対象
・234人が「第一段階選抜」で勝ち抜け
・ということは78人が残った(不合格にはならず、「第二段階選抜」へ)
・「第二段階選抜」で30人選抜される
・ボーダー内申で漏れた28人と、残った78人が対象(つまり106人)
・30人が「第二段階選抜」で勝ち抜け
・残った76人で「第三段階選抜」

③第三段階選抜

最後には調査書・学力検査・面接を総合的に判断し、マシな受験生(言い方がひどい)を募集人員の15%程度だけ選考します。

ということは、第三段階で選抜される合格者は

$300×15=45$

45人ですね。ということは

$76-45=31$

この31人は3つのふるいにも残れず、悔しくも不合格となります。
最終的に合格者は234+30+45=309人ということになり、各選抜の端数調整で9人も余分に合格したことがわかります。

……以上が共通枠の説明です。一気に言われてもわかりませんから、ゆっくり読んでいけば大丈夫です。

内申点がほぼすべてを決める

静岡県はやたら内申点で受験生の素養を測ろうとします。共通枠の第一段階選抜を見れば大体わかりますが。

そのため、内申点をより高くしなければ、選べる高校が限られてしまいます。

そして超重要なのは、「この内申点だとこの高校に受かる」という情報は基本的に塾の先生に聞き出すしかないということ。
学校の先生だって一応持っているはずですが、多忙なのでいちいち親に構っていられるほどアクティブではありません。(先生だって頑張っているので責められませんけど)

じゃあ塾に通ってない人はどうするのだ

佐鳴予備校が毎年発刊している「サクセスロード」を仕入れましょう。毎年9月~10月あたりに書店で販売されます。佐鳴予備校に通っている中3生は、夏か秋ごろにもらえるものです。

また、秀英予備校の「入試研究」なんかもいいですね。これらの本をメルカリとかで購入しておきましょう。
多少高くても気にしない。文字通り、「値千金」の情報です。

これらの本には、公私両方の高校について詳細な情報が書かれています。高校の特色を暗記しておけば、面接時に役に立ちます。

さらに注目すべきは、昨年度に合格した受験生の「学調-内申点の関係」です。このデータを見ると、どの得点帯で受かるのがが一目瞭然です。

……他にも昨年度の出願・倍率や面接で何を聞かれたか、併願した私立校についての情報も載っています。他塾の人もどうぞ。

内申を上げるためには本人のやる気が必須

まずは受験生本人に、「内申を上げないとあとで取り返しのつかないことになる」ということを理解させなければいけません。
しかしこれが難しい。

塾に通っていると講師の働きかけや塾の雰囲気でなんとなく「内申は大事だ」と理解するんですが、学校だけだとちょっと厳しいですね。

これを踏まえたうえで、「定期テストで確実に点数を取る」「積極的な授業参加」「提出物はきちんと出す」の3点さえきっちりやれば評点「3」「4」は保証されるんです。
定期テストの目安といっても確実なものはありませんが、「3」なら20点以上、「4」なら27~28点以上はほしいところですね。

そして、中3の2学期は評点がやや甘いことが多いので、それだけに上の3点を徹底しないと他の受験生に後れをとってしまうわけです。頑張っていただきたいところです。

こういうのって、具体的な方法論がないのが厄介なんですよね。是非周りの人が頑張って動機付けしてほしいです。

学調の点数も大事

三者面談や塾の面談においても、内申とセットで引き合いに出されるのが県学力調査の点数です。

中3においては、第1回が夏休み明けの9月はじめ、第2回が11月終わりに実施されます。定期テストとは異彩を放つ構成・難易度となっています。

構造上入試に近いため、出願校の判断材料にされるというわけです。しかも出題範囲は今まで習ったところ全てです。つまり、日頃から勉強しなかったら、どう天地がひっくり返っても点数はとれません。

不幸中の幸い、中3生は第2回もあります。それまでの猛烈な追い込みが実を結べば、出願校の選択肢も増えることになります。

入試でいい点さえ取れればいいのでは?

とお思いの方もいるでしょう。しかし、塾講師や学校の先生はたいへんに事務的です。

内申・学調の点が少しでもふさわしくない場合、まず止めに来ます。特に学校の先生はそこらへんがうるさく、三者面談で親子をねじ伏せに来ます。(先生側の老婆心ということなんですけどね)

ただし、最近は塾講師・学校の先生も甘くなりました。チャレンジ受験を支持する先生も多くはなりましたね。自由放任という裏返しでないことを祈りますが。

第1回は成績が二極化する

受験生の立場になってよく考えると、夏休み明けは簡単な「夏休みの友テスト」みたいなやつで済んだんです。中2までは。

日頃から熱心に勉強しなかった中3生にとっては、本来なら存在しなかったはずの県学調を夏休み明けにやらされるんです。まだ夏休みの課題も残っているというのに。

すると、しっかり対策した選ばれし受験生のみがいい点をとります。めんどくさいことに第1回の点数もしっかりと三者面談の場で判断材料として使われます。

このように、軸のブレない勉強習慣を持ってはじめて学調を制することができます。

第2回で塾に通っている人がやけに強くなる

塾で行っている学習は、いつもなら予習がメイン。そのため塾に通っていない人との実力差は明らかなものではありませんでした。

事は一変して、塾では入試突破に必要な問題を効率よく扱っています。
夏期講習で基本事項を反復暗記させ、こういった応用問題で定着させています。

そうして11月の第2回県学調で、フタを開けてみればびっくり仰天。塾に通っている組は、無策で挑んだ人に実力で大差をつけてしまっているというのが恒例です。



長々と書いたので(僕も)要点が分からなくなってきたので、以下にまとめますね。

【要点】
①内申・学調・2学期の成績が出願校を決める
②塾に通っている人は、第二回の学調でやけに強くなる
③受験は情報戦。情報誌を手に入れたりいろいろ試してみる
④受験のシステムや自分の成績を把握する時間を作る

となると、次にほしい情報はどの塾に通うべきか、という事になるかと思います。
近いうちに集団授業と個別指導のメリット・デメリットについても記事にしておかなければ!と思いました。

まとめ

塾業界の社員でもなんでもない一般県民ですから、かなり批判的に真実をお伝えしました(笑)。

高校入試を控える中3生・親御さんの助けになれば嬉しいです。

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プロフィール

でるてぃーメモ 管理人

大学3年。趣味はそろばんと資格勉強。個別指導塾とHP更新のバイトをしています。


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