2024 静岡県公立高校入試理科 解答
投稿:2024/09/06 更新:2024/09/24
こんにちは! でるてぃーです。
ついに理科にも手を出しました。塾バイト用に使うページですが、よかったらどうぞ。
この記事は2024年版の解説となっています。
目次(見出しにジャンプします)
2024年度の静岡県公立入試問題はこちら(外部ページ)に載っています。
大問1 小問集合
静岡県の大問$1$は小問集合。ただし計算問題が交じっており、意外と満点は取りづらい。
大問1 (1)
対立形質 ですね。
ただ、そういう名前の形質があるのではなく、エンドウなら「丸形」・「しわ形」と対になっている形質の関係を表す言葉です。
大問1 (2)
これも基本問題。原子核には+の電気を帯びたつぶつぶの「陽子」、電気的に中性の「中性子」が入っているので、答えは ウ です。
大問1 (3)
深成岩は文字通り「深いところで成長する岩
石」ってことですね。
「地下でゆっくり冷える」は頻出の記述問題です。
大問1 (4)
電気回路というだけでイヤになるかもですが、慣れたらパズルに近い面白さがあります。
とりあえず、今わかっていることをまとめて、何を求めたいか整理しましょう。
電熱線Yの抵抗を知りたいところですね。でもこのままでは手詰まりって感じ。
でも電源電圧と、回路を流れる電流だけ判明しているようです。ということは、電源につながった抵抗全部を1つの合成抵抗とみて計算できそうです。
合成抵抗がわかったら、Yの抵抗もわかります。最後にオームの法則を決めて終わりましょう。
大問2 生物分野
大問2はずーっと生物分野です。この傾向は変わらないでしょう。
大問2 (1)①
卵を産むタイプではなく、ある程度育った子を生むタイプです。これは胎生ですね。そして基本、ほ乳類限定の特徴です。
大問2 (1)②
これはとやかく説明するより、下のフローチャートを見たほうが早い。
は虫類か鳥類かを比べようと思ったら「恒温・変温」か「うろこ・羽毛」のどちらかということですね。教科書の表をよく見直しておこう。
大問2 (2)
炭素循環を表しています。二酸化炭素としての移動/有機物の分解のどちらかを見極める問題です。
二酸化炭素は$CO_2$なので、炭素原子$C$が含まれていることがわかりますね。
そして、私たちも含め動物・植物はみんな有機物。炭素原子$C$、水素原子$H$、酸素原子$O$のカタマリです。
二酸化炭素の移動は「呼吸・光合成」なので、「ア,イ,オ,キ」は全部これになりますね。
有機物である生産者・消費者が枯れたり死んだりすると、分解者によってばらばらにしてくれるので ウ,エ,カ が正解。
大問2 (3)①a
デンプンにヨウ素液をかけると青紫色ですね。また、デンプンはだ液酵素により(麦芽)糖になります。
もう麦芽糖に変わったやつにヨウ素液をかけても、何も起こりません。
さらに、麦芽糖にベネジクト液をかけると赤褐色になります。本問はここまで知っておくとスピーディーに処理できます。
また、デンプンは体を通って最後には小腸でブドウ糖になります。で、柔毛から毛細血管へ吸収されて使われるということです。答えは エ 。
- 毛細血管で吸収した糖を血糖といいます。「血糖値」がどうのこうのと騒ぐ人を見たことがあると思いますが、年を取ると(インスリンというホルモンで)調節がしにくくなります。
大問2 (3)①b
だ液酵素には、何か適温があるんじゃないかと考えた問題文中のSさん。
だったら、2本の試験管を入れている「ビーカーの水温」を変えるという対照実験をするのは当然です。
大問2 (4)
計算問題ですね。でも慌てなければ大丈夫です。
まずは一日に脳が消費するエネルギーを出しておきましょう。そしてご飯$1[g]$あたりのエネルギーを求めて計算しましょう。
- 米1合を炊くと約$350[g]$で2人分。1食でもメシを抜くとヤバそうだということがわかります。
大問3 化学分野
物理分野のときもありますが、今回は化学分野からの出題でした。
大問3 (1)①
ちょっと言葉を整理しておきますか。
- 「純物質」→1種類からなる物質
- 「混合物」→2種類の純物質が混ざった物質
- 「単体」→元素1種類からなる物質
- 「化合物」→元素2種類からなる物質
化合物かどうかを聞いています。つまり、元素が1種類のみかそうでないかを問うているので、「純物質か混合物か」なんかはどうでもいい。
水は$H_2 O$、マグネシウムは単体で$Mg$、水素も単体で$H_2$、塩化ナトリウムは$NaCl$です。よって正解は ア,エ です。
大問3 (1)②
めんどくさいパズルが来ました。まず前提として、密度の大小で沈むか浮くかという挙動が違います。
下の図を見てください。物体の密度と液体の密度、どっちが大きいかで浮き沈みが変わります。
とりあえず簡単なやつから片づけましょう。全部沈むやつを考えれば最強と最弱がわかります。
液体Xが最弱なので、次に液体Y,Zを考えるのが自然な発想です。
この不等号の関係をまとめると答えが出ます。人によっては時間の取られる、まさに差がつく問題といえます。
大問3 (2)①
石灰水の泡ブクブクが終わったら反応終了の合図ですね。
最初に ア からやった場合
加熱中なので、試験管内の気体は膨張し、試験管が破裂するかも。危ないのでダメ。
最初に イ からやった場合
石灰水が逆流して大変なことになります。これもダメ。
最初に ウ をやって ア をやった場合
同じ理由です。先に火を消しておかないと、気体が膨張して試験管が破損することがあります。
以上により、ウ→イ→ア の順番が正解です。
大問3 (2)②
薬さじの裏でグリグリした銅は光るようになります。「金属光沢がある。」と書くのが手っ取り早い。
大問3 (2)③
化学反応式はもう、やるべきことが決まっています。機械的に処理していきましょう。
大問3 (2)④a
次の④bとともに、かなり本質的なことを問う上位層向けの問題ですね。
そもそも、酸化銅の還元実験で、物質はどのように変わっているのでしょうか?それがこちら。
で、問題文には表3がありますね。質量保存の法則は絶対です。二酸化炭素として空気中に逃げたことを考えれば、全体の質量変化はありません。
言葉で説明するのは難しいので、下みたいな感じでやってみましょう。
僕は表の行を勝手につくって書いてました。炭酸水素ナトリウム(の熱分解)問題でも使えます。
そういうわけで、二酸化炭素は$2.2[g]$とわかります。
炭素をつぎ込んでもこれ以上増えないってことは、最初に混ざっていた酸化銅が尽きたんですね。$CuO$がなくなるパターンでした。
大問3 (2)④b
もう一回あの表を見てください。
試験管Bと試験管Cの二酸化炭素量は同じ。しかもその後増えることもありません。
ってことは、試験管Bで使った炭素量である、ちょうど$0.6[g]$で
$2CuO+C\rightarrow2Cu+CO_2$
という反応が終了ということになりますね!気分は名探偵です。答えをそのまま載っけて恐縮ですが、こういうグラフになりますね。
大問4 地学分野(天体)
大問4 (1)①
太陽が動いているわけではなく、地球が反時計まわりで自転しているんでした。
その影響で、私たちは見かけ上太陽が動いているように見えますね。この挙動を 日周運動 といいます。
大問4 (1)②
これも実は大した問題でもなく算数です。表を伸ばしてしまいましょう。
大問4 (2)
これは結構難しいですよ。いろいろ前提知識をもっていないとなかなか厳しいです。
- 地軸が($23.4$度)傾いているのが原因で、四季が生まれる
- 地球のどこにいても、太陽は東から昇り、西に沈むように見える
- 太陽は地球からめちゃくちゃ遠い
以上の知識を使って次の図を見ましょう。まずは北半球での図です。
これにより、問題文の図8のような動きになります。ちなみに真東から昇らず、やや南寄りなため南中高度も小さい(日照時間も少ない)ので、季節は冬です。
ということは南半球では夏ということになりますね。今度はこちらの図をご覧ください。
南半球では、正午に太陽は北の空にあります。この時点で選択肢の「ア,イ」は違うということですね。
さらにいうと、日の入り(太陽が沈むとき)は北半球も南半球も、どちらかといえば南寄りの方角で起こっています。
こうなると ウ も違うことになり、最終的に答えは エ となります。
大問5 地学分野(気象)
地学分野が2つという構成は変わりませんが、今回は地震・地層といった分野は出題されませんでした。
大問5 (1)①
閉塞前線ですね。やや慣れない単語が出ました。停滞前線と間違えないように描きましょう。
閉塞ってことは(寒冷前線が温暖前線に追いつき)閉まって塞がるということですね。
大問5 (1)②
これは図を見た方が早いでしょう。
温暖前線・寒冷前線付近では暖気と寒気がぶつかります。ただし、ぶつかり方が違うので雲のできる領域も違います。
「寒気が暖気を(急に)押し上げる」ため、同じような場所に高く雲ができることになりますね。
大問5 (2)①
ウを通る等圧線よりも内側にある地点を選びましょう。地点イが正解ですね。
大問5 (2)②
山の頂上は、ふもとにくらべて低気圧です。
頂上で低気圧の空気を封じ込めても、何も起こりません。当然、頂上では気圧が容器の外と中でつりあっています。
しかし、ふもとは高気圧で、圧力は容器の中よりも大きい。以上よりペットボトルは外からの圧力に耐えきれずつぶれるということで、ウ が正解でした。
大問6 物理分野
今回は力学からの出題でした。差がつく問題も多く含まれており厄介な部分です。
大問6 (1)①
物体どうしがふれ合ってはたらく力は弾性力と垂直抗力です。
磁石の力は、磁石どうしを近づけるだけで起こりますね。重力だって、地面にいようがジャンプ中だろうがはたらきます。
というわけで答えは イ,エ ですね。
- 磁石の力や重力は、直接物体がふれなくてもはたらいています。不思議ですね。大学物理で「場」の概念を正しく学ぶと、電磁場や重力場中にいると起こる近接作用の力を理解することができます。
大問6 (1)②
質量$3[kg]=3,000[g]$なので$30[N]$ですね。
これを$80[cm]=0.8[m]$だけ引き上げます。仕事の公式は
仕事$[J]=$力$[N]\times$距離$[m]$
なので、これに代入してさっさと計算しましょう。
$30\times0.8=24$
答えは$24[J]$となります。
大問6 (2)
今いちど、仕事の原理を復習しておきますか。
今回は動滑車が3個なので、引く力は$(\frac{1}{2})^3=\frac{1}{8}$倍とかなりラクです。
まあでも、引っ張る距離は$2\times 2\times 2=8$倍に増えますけどね。
で、仕事の原理により、手が加えた力がした仕事は変わらないので$1$倍となります。
大問6 (3)①
こちらの図を見てください。
斜面上でも慌てないで力を作図しましょう。
地球にいれば確実に重力はかかりますね。必ず下向きです。
それから台の上なので垂直抗力もかかります。何に垂直かって?もちろん斜面に垂直な方向。答えは エ です。
大問6 (3)②
記録タイマーの打点を調べる問題です。
まずは鉄則として、1打点に何秒かかるかを計算しましょう。次に点aから点bまでの打点数を調べて時間を割り出します。あとは「みはじ」ですね。
大問6 (3)③
全問題の中ではかなり難しい問題です。
等加速度運動と等速直線運動は、いったいどういう状況でおこるのかをおさらいしましょう。
- 高校では、速度(速さ)は$1[s]$あたりの変位(距離)、加速度は$1[s]$あたりの速度と習う。つまり等速(直線)運動は速度が一定。等加速度運動は加速度が一定で、それは速度の増え方も一定ということ。
区間2~区間4まではテープの長さが$3[cm]$ずつ増えていますね。同じだけ速度が増えているので等加速度運動中。つまり斜面の上にいます。
そして区間5になると$2.6[cm]$だけ増えます。$3[cm]$増えなかったのでどこかで等加速度運動しなくなった、ということになりますね。
言い換えると、区間5のどこかのタイミングで等速直線運動を始めるということ。水平面に到達した区間は $5$ です。
まとめ
静岡県の理科は1点問題が多く、範囲が広いです。得点源を確保できるよう訓練しておきましょう。
高校入試を控える中学生の助けになれば嬉しいです。