共通テスト数学2022の整数問題をそろばん(暗算)でねじ伏せてみた
投稿:2025/08/12

そろばん勢ではない方にはまったくおすすめできない解法であることを予めことわっておきます。
こんにちは! でるてぃーです。
タイトルの通り、力技で共通テスト2022の数学①をごり押しするだけの記事となります。
扱うのは、数学Ⅰ・Aの第4問。旧課程のため、整数分野になっています。
数学がある程度できるそろばんの有段者ならこういうルートでもいけるっていうのを解説しようと思います。
目次(見出しにジャンプします)
2022年数学Ⅰ・A 第4問の概観


1次不定方程式の問題ですね。頻出です。
しかし侮るなかれ。最初の時点で$5^4=625$とデカい数があります。
(1)まではなんとか食らいつけるのですが、(2)の誘導は慣れていないと意味不明に終わってしまうと思います。
(3)はもちろん(2)を使うのですが、誘導に載ったところで使い方が分からず…という受験者もたくさんいたでしょう。
そして最後。(4)を正攻法で解いたとしても次の式の計算を余儀なくされます。
$y=\frac{11^5 \times 19 -1}{2^5}$
びっくりですねこれは。そろばん勢でも重たいなと思う計算量ですよ。
「思考力」ってこういう処理能力なんでしょうかね。作問者の「嗜好力」には恐れ入りました。
(1)の解法

まず、①式を次のように直します。
$625x-16y=1$
とりあえず、アを見ると1桁ですね。
1問目であることや、$x$の係数が大きいことから、せいぜいアは1,2,3あたりでしょうね。
それを踏まえて、625を16で割ってみましょう。
商39、余り1ですね。計算時間3秒です。ということは
$625\times 1-16\times 39=1$
が成り立つので、うまくいきました。アは$1$、イウは$39$です。

次は$x$が2桁になっているので、いくら暗算ができても面倒です。
ここは正攻法でやっておきましょう。

エオは$17$、カキクは$586$です。
(2)の解法

ケについては単なる指数法則ですね。
$625^2=(5^4)^2=5^8$
よってケは$8$です。
次に、$m=39$なので、何も考えずに代入していきます。
$625^2=390,625$です。3桁×3桁なので、ゆっくりやっても6秒で暗算できます。
同様に、$2^8=256$です。2の累乗なので、10乗までは暗記すべきです。これはそろばん勢云々の話ではありません。
$m^2=39^2=1,521$と2桁×2桁をささっとこなし、本格的にコを特定しに参りましょうか。
$390,625=256\times 1,521+2^{コ}\times 39 +1$
$390,624=256\times 1,521+2^{コ}\times 39$
ここで両辺39で割れるようなにおいを感じます(そろばん勢だけか?)。そういうわけで割ってしまいましょう。
$10,016=256\times 39+2^{コ}$
$10,016=9,984+2^{コ}$
$2^{コ}=32$
ということで、コは$5$です。
(2)の計算時間は1分もありませんでした。
(3)の解法

誘導はガン無視でやってしまいましょう。②式は次のようになります。
$3,125x-32y=1$
特殊解を見つけるために、ユークリッドの互除法を使いますか。桁数も小さいですからちゃっちゃと片づけます。

計算時間は20秒ほどになりますね。
互除法で得られた式を、逆に辿って3,125と32だけの式にしてしまいましょう。こういう感じ。

書く時間も含めて1分経つか経たないかくらいですね。特殊解を用いた式は次のようになります。
$3,125\times (-3)-32\times (-293)=1$
正攻法でやってしまいましょう。ちょっと計算量がハードですが、3桁×3桁のかけ暗算を扱う有段者なら余裕ですね。

$x$が3桁の正の整数という条件があるので、勝手に定義した定数$l$を4としましょう。
すると、サシスは$125$、セソタチツは$12207$になります。
一般の受験生はおそらく模試でも出会ったことのない計算量でしょうが、有段者にとってはまだまだウォーミングアップです。
(4)の解法

さらなる計算地獄がありますね。僕らは同じパターンなのでラッキー問題ですけども。
$11^5$は、$11^3\times 11^2$とかにしてしまいましょうか。つまり、$1331\times 121=161,051$です。(計算時間7秒)
4桁×3桁のかけ暗算は、暗算検定のなかでも高段位の人じゃないと慣れていないかもですね。
ただし、積が6桁ですから頭の中でのイメージはしやすいです。
よって、注目する1次不定方程式は次のようになります。
$161,051x-32y=1$
機械的に互除法を使って特殊解を出しましょう。ありきたりで面白くないんですが、点を取るためですから黙って計算します。

全体的に、そこまで大きな桁を計算している印象はありませんね。
段位の暗算検定では、4桁×4桁など、積が8桁になるかけ暗算もあります。それと比べると、大したことはありません。
(3)と同様に、互除法によって得た式を逆に辿ります。

僕だったら、割とデカい数字になってきているので検算をします。
最後の行は積が7桁になりますが、ゆっくりやったり、分割したりすれば対応できます。
$32\times 11+27\times (-13)$
$=352-351$
$=1$(OK)
$161,051\times (-13)+32\times 65,427$
$=-2,093,663+2,093,664$
$=1$(OK)
いい感じですね。検算を含めても、1分はいらないです。
ホントに数学とそろばんが適度にできる人にとっては、「気づいたら(4)か」って感じです。
では、正攻法で答えを出しましょう。

$x$が正の整数かつ最小という条件があるので、定数$m$を1として代入。
すると、テトは$19$、ナニヌネノは$95624$になります。

さらに!この答えがホントに一次不定方程式を満たすのか心配になるので、ダメ押しに暗算しましょう。
$161,051\times 19-32\times 95,624$
$=3,059,969-3,059,968$
$=1$(OK)
計算時間は15秒ほどになりますかね。
当たるわけないこんなの
…それにしても、95624って勘じゃ絶対当たらないじゃないですか!
まあ、こんなものに当たるより宝くじに当籤したいもんですけども。
全然主観ですけど、日本人が好きな「3」が入っていないですね。
誰だって、「一万の位はそんなに大きくないだろう、せいぜい1か2」と思うところにまさかの「9」。
マークシートは0~9の順に並んでいて、人によってはどうしてもまばらにマークしてしまうはず。「16380」とか「37042」みたいに。
しかし、9だけ離れていて2456が位置的に近いのも勘で当たらない原因だと勝手に思っています。
- 最後、勘に頼るくらいなら第3問、第5問にするべきところですね。
おまけ:相関係数も暗算で

これもしょうもないですね。2変数$x,y$の相関係数$r_{xy}$は、$x,y$の共分散$s_{xy}$およびそれぞれの標準偏差$s_x,s_y$を使って次のように表せるんでした。
$r_{xy}=\frac{s_{xy}}{s_x s_y}$
そういうわけで、代入して終わりですね。
$\frac{735.3}{39.3\times 29.9}=\frac{735.3}{1,175.07}$
$=0.625\cdots \fallingdotseq 0.63$
裏表紙には四捨五入しろという指示がありますから、小数第三位を丸めて解答とします。大体20秒くらいですかね。
それにしても4桁÷6桁ですか。あんまり扱わない桁数の問題ですが、割る数が6桁程度なら高段位の選手とかはいけます。
それくらいの実力があるなら、ストレートに計算できないといけません。
そろばん勢が得意な問題の傾向
・コンピュータと同じく単純作業ほど強い
・整数問題は大体ゴリ押しできる
・ごり押し問題が色んなところに存在
・桁数がデカいほど輝く
コンピュータと同じく単純作業ほど強い
今回のように解き方がパターン化していて単純作業だとなおいいですね。
テクニックめいたものは、ユークリッドの互除法と、互いに素の性質を利用した一次不定方程式の解き方だけでした。
整数問題は大体ごり押しできる
整数問題は、まさに僕たちそろばん勢の為に用意されているといっても過言ではありませんね。
- 「いや、そんなわけない。私は嫌い。」というそろばん勢の声が聞こえてきました。ついでに言うと僕も嫌い。
旧課程では一次不定方程式しかパターンが無かったのですが、最近はn進法の問題がメインになって出題されたりもします。
n進法の問題は、計算力という馬鹿力で全部10進法にしてしまいます。こちらもそろばん勢にとって相性のよい分野ですね。
極論いろんなところにごり押し問題がちりばめられている
どんな模試や当日の問題にも、計算力だけでねじ伏せられる問題が必ず交じっています。
また、数学だけでなく物理や化学にも使えます。皆は筆算で計算しているところをさっさと計算できるので他の問題を考える時間が増えます。
桁数がデカいほど輝く
僕ら、計算力をウリにするそろばん勢は、扱う桁数が大きければ大きいほど輝きます。
デカすぎるとそもそも計算できなかったり、分割しないといけなかったりと面倒ですけどね。
普通の人なら、2桁×1桁でも結構時間がかかるものです。
暗算検定1級だと、3桁×2桁のレベルですから、段位の人より時間はかかっても、大学受験の範疇では十分に強いスキルになります。
- 昔1級を取っていたという人は、暗算力が錆びついてしまっているかもしれませんが……高段位を目指していた人なら多分できると思います。
暗算十段やそれを目指す高段位の人にとっては、かけ暗算なら4桁×4桁のように積が8桁になる問題までとりあえずいけます。
分割暗算ができるようになれば、6桁×6桁も時間をかければ暗算でできます。
わり暗算については、8桁÷4桁のようなサイズでも出来るかと思いますね。
- 作問者の皆さん、余り桁数をデカくするとそろばん勢がより強くなってしまいますから、くれぐれもご注意ください。
まとめ
今回は共通テスト2022 数学①第4問をそろばん勢らしく力技で解答しました。
そろばんって案外意外なところに役立つっていうのをどんどん発信していきたいです。