小学生も√の計算!開平計算の魅力
投稿:2024/08/19 更新:2024/09/23
こんにちは! でるてぃーです。
突然ですが、$\sqrt{603,729}$は整数にすると何の値になるでしょう?……普通の人には難しい計算です。
そんな中3数学で登場する√(ルート)の計算ですが、そろばんでもできるんですよ。
そこで、全珠連の珠算段位にも含まれている科目「開法」より「開平計算」を紹介します!
目次(見出しにジャンプします)
√(ルート)って何だ
一言でいうと、「2乗すると外れる記号」です。2乗は2回同じものをかけ算するということですね。
中学3年で習うこのルートですが、なかなかとっつきにくいんです。子どものときこれに苦しんだ方も多いはず。
そんな嫌われ者のルートですが、とりあえず存在意義だけ言っておきます。下の図に大きさの違う正方形を2つ用意しておきました。
左の正方形は面積が4$[cm^2]$です。正方形の面積は「一辺の長さ×一辺の長さ」でした。このとき
$2[cm] \times 2[cm] =4[cm^2]$
つまり
$2^2 =4$
ということになり、左の正方形の一辺の長さは$2[cm]$とわかります。
しかし!右の正方形はどうでしょう。面積は$7[cm]$。一辺の長さを求めましょう。
……
……
……あれ?なんかおかしいですね。うまくいかない。
実は、2回掛けて$7$になるようなちょうどいい数って、ないんですよ。
だけど、昔の人は発想が天才的で、「ふーむ、ないのかこんな数。じゃあ作ればいいんじゃね」こう考えました。
そこで、2乗して$7$になる数として$\sqrt{7}$(ルート$7$)を作ったというわけです。
つまり、右の正方形の一辺の長さは、$\sqrt{7}[cm]$ということになります。
開平計算って何だ
簡単にいうと、ルートから普通の数にむりやり直すことです。
また例を挙げましょう。たとえば$\sqrt{36}=6$ですね。
これは、$36=6^2$、つまり$6\times 6$だからです。もっというと同じ数のルートを掛けると√は外れるので
$\sqrt{36} = \sqrt{6} \times \sqrt{6} =6$
ということになります。
これくらいなら暗算でもできますが、次の場合はどうでしょうか。
実際に段位試験で出題されるレベル
$\sqrt{339,869}=$
$\sqrt{1,663,987,264}=$
$\sqrt{838,847,164,996}=$
$\sqrt{0.0091708923}=$(小数点第5位未満四捨五入)
段位の世界を知らないとゾッとする桁数ですが、できる小学生なら淡々とこなせる問題です。僕もやってましたよコレ。
これだけの桁数があるルートですが、「開法計算」というメソッドをそろばんでこなし、むりやりルートをこじ開けます。
例題をやってみる
試しに1問例題を見てみますか。
$\sqrt{65536}$を整数に直しなさい。
というわけで、筆算でやってみましょう。難しかったら適当に聞き流してくれれば十分です。
筆算でやる
まずは図のように書いてみましょう。$65,536$という数字を2桁ずつブロックに分けるんです。
3つのブロックに分かれましたね。まずは①のブロックです。
①のブロックには「$6$」が入っています。$6$以下で最大の2乗数(平方ともいう)を下のように書きます。
$2^2=4$なので、$4$が入ります。
次は、左の「$2$」の下に$2$を、ブロック①の下に2乗である$4$を書きます。
で、左は 足し算 して右は 引き算 します。
そして、②のブロック「$55$」を下へおろします。
ここまで大丈夫でしょうか?次からちょっと難しくなります。
左にある「$4$」を見てください。ここの右に▢を2コ書きましょう。
ここが厄介。今から▢に入る数を考えます。
「$4$▢$\times$▢」の値が、「$255$」以下でしかも最大になるような数が▢に入ります。
分かりづらいので書き出してみましょうか。
$41\times 1=41$ →まだいける
$42\times 2=84$ →まだいける
$43\times 3=129$→まだいける
$44\times 4=176$→まだいける
$45\times 5=225$→最大
$46\times 6=276$→ダメ
ってな具合で、▢に入るのは$5$だと分かりました。それと②のブロックの上にも$5$を入れておきます。
先ほどと同じ要領で、足し算引き算しましょう。
次は③のブロックです。これもまた▢を書いて、うまくいく数を探します。
ちょっと桁数がでかいですが、「$50$▢$\times$▢」の値が、「$3036$」以下でしかも最大になるような数が▢に入ります。
計算は割愛しますが、$506\times 6=3036$とピッタリになります。
同様に足し算引き算して③のブロックも攻略できましたね。
最後に③のブロックが「$0$」になりました。「$0$」にならないときは小数点へと続いていきます。
これでめでたく$\sqrt{65,536}$の値を開平法で求めることができました!
$\therefore \sqrt{65,536}=256$
そろばんなら早い
- ※早送りではありません。紙の上で手計算するよりも圧倒的に速いですね。
弾くのが速い人がやると5秒もかかりません。もっとやばい人は暗算でもできます。
僕らだったら、6桁くらいのルート(平方根)は暗算でやっちゃいます。その方が早いですからね。
ただ、そろばんでやる方法は何個か流派があって、僕がやっているのは基本である「平方九九 法」、もっと速いけど理解が難しい「半九九法」があります。
ついこの間、「開平にはいろんな解法があるんだ」「半九九法のほうが速いんだ」ってことを知りました。現役のときにもっと精度よく開法計算ができたんじゃないかなと悔しい思いもします。笑
平方九九や半九九をそろばんでやろうと思ったら、やっぱりyoutubeの動画かなんかを見た方が理解しやすいです。
まとめ
今回は開平法の奥深さをつらつらと語りました。小学生でも原理さえわかれば攻略できます。きついけど。
しかし、開法計算はまだ終わりではありません。「開立法」というやばい計算がまだあるんですが、また今度お話ししましょう。