【漢検準1級】得点源!読み問題で8割手に入れるために
2024/09/23
こんにちは! でるてぃーです。
今回から分野別に攻略方法を書いていきます。『読み』問題ですね。
個人的なメモみたいなものですが、使える情報もあるので共有したいと思います。
目次(見出しにジャンプします)
概要
出題される内容
実際の検定問題では30問出題されます。問題番号1~20は音読み、21~30は訓読みの問題です。
配点は1問につき1点と少ないですが、30点分あるので落とせない分野です。
知識ゼロでは予測できない『読み』
よく出る問題の例を示しておきます。
何と読む?「井蛙」
音読みで「セイア」と読みます。もちろん「井の中の蛙」という意味です。
何と読む?「豊稔」
音読みで「ホウジン」と読みます。対策していないと「ホウジョウ」と読んでしまいがち。
何と読む?「宥す」
訓読みで「ゆるす」ですね。「宥める」にも使われる漢字です。
何と読む?「四阿」
訓読みで「あずまや」です。公園や庭園にある休憩スペースみたいな小屋ですね。
……このように、普通の人は予測してもほとんど当たりません。
準1級配当漢字が含まれる問題がほとんどですから当然といえば当然です。でも、ちゃんと対策すれば大丈夫!
2級以下の内容も出題される
意外かもしれませんが、30問あったら1,2問くらい出題されています。例えばこういうやつ。
何と読む?「要津」
音読みで「ヨウシン」です。重要な港だという意味ですね。「要」は7級、「津」は準2級です。
準1級は『読み』分野以外にもちょこちょこと常用漢字範囲を出してきます。
古文・漢文常識は当たり前
2級までは常用漢字の範囲だったので、日常生活で使う表現しか出題されませんでした。
ところが、準1級以上になると古文や明治時代までの文語文、漢文では書き下し文が普通に出されます。1級の『読み』問題はほとんどこれです。
当たり前とはいっても、大体は推測できるので、そんなに心配しなくても大丈夫です。
困ったら、高校古文・漢文の本とかで思い出しておきましょう。具体例は後で示しておきます。
『読み』問題攻略
とにかく参考書を解きまくれ!
この一言に尽きます。じゃんじゃん問題を解きましょう。量こなせば、必ず準1級配当漢字を覚えられます。
準1級の参考書はたくさんありますが、『読み』問題の分野に関して言えばどれでもいいです。
参考書1冊を完璧にすれば85%、2冊完璧にすれば90%くらいをカバーすることができます。
初学者におすすめの参考書
まだ参考書を持ってないよ、という未来の合格者のために紹介。
初めて受検しようと思ったら、ほぼ確実に『史上最強の漢検マスター準1級問題集』(ナツメ社)をやるべきです。
いろんな参考書がありますが、初学者にとってコスパ・タイパともに最もオススメな一冊です。「史上最強」と豪語する問題量とその質は本物です。
この本では反復して解きやすくするために、計算して類題をちりばめています。
じゃあ類題ばかりかというとそんなことはなく、圧倒的網羅性を兼ね備えた一冊となっています。
手っ取り早く150点以上を目指すなら、もうこの本しかないとすら感じましたね。残りの10点は、巻末の付録などで詰めていきましょう。
「漢検 漢字辞典」の秘めた力
「辞典」と言っているくらいなので分厚いんですが、これが使えるんですよ。
参考書を解き進めると、やっぱりわからない熟語や語句が出てきます。
今の参考書は問題の横に1行ほど解説をつけてくれていますが、たまに不十分なものもあります。
そういうときにこの1冊。調べれば用例や意味がちゃんと載っています。もちろん、準1級以外の漢字も。1級受検や2級以下でも使える最大最強の対策本といえます。
使い方に注意すれば最強の味方になる
正直、初学者が効率よく準1級を合格するには必ずしも必要ではない本ですが、サプリメントとして使えば確実に力がつきます。
用例の幅がぐっと広がり、柔軟な漢字力を育ててくれます。『読み』問題以外の分野でも助けてくれますよ。
- 本来なら「ギリギリ不合格」になるはずのところを、地力でカバーして合格っていうのも往々にしてありますからね。本気で対策したいならおすすめです。
高得点狙い向け
参考書だけで満点は取れない
参考書を3冊も4冊もこなしたところで95%(=28問以上)得点することは難しいです。
理由は簡単。過去に出題されたことがない/出題回数が少ない熟語・語句が必ず交じっているからです。
検定問題にはいくつか難問が交じっており、満点狙いの芽を全力で刈りにきます。
ほとんどの参考書は、頻出度順に並べて出題しています。効率よく合格させるためには当然のことですよね。
そのため、出題回数の少ない難問は、どの参考書にも載っていないことがほとんどです。
参考書だけの対策では『読み』問題を網羅することはできないことを覚えておいてください。
つまり、『読み』問題は完璧に対策しようと思わず、ある程度学習したら見切りをつけるのが効率的です。『四字熟語』や『故事・諺』でもやりましょう。
「漢検 漢字辞典」で極めよ!
さっき紹介した辞書ですね。めちゃくちゃ重宝します。
上で満点はムズいとか言ってましたが、これを極めればかなり可能性がありますよ。
つまり、実際の検定問題で出題される問題は、ほとんどすべてこの本に載っています。準1級ならほぼ間違いなく全部あります。
- ※1級ではこの辞典にない言葉も出題されるようです。広辞苑にも載っていない奇問が出てくるとかなんとか……オソロシイ。
そのため、全分野対策し終わってもなお時間がある場合、「漢検 漢字辞典」にある準1級配当漢字をチェックしていきましょう。
じゃあ最初から辞典やればいい?
いきなりはダメです。まだ8割得点に届かない人は「漢検 漢字辞典」をベースに勉強するのはおすすめできません。
勉強してこなかった高校生がいざ受験シーズンに「覚えるぞ!」と買ったぶ厚い英単語帳。挫折するに決まってますよね。それと同じことです。
サプリメントとしての用途なら大歓迎ですが、辞典ベースの学習をするなら全分野をある程度対策できた後にしましょう。
新ギミック「十干十二支」
注意!漢検準1級 R6-1には出題されませんでした。このあとの傾向は分かりませんが、一応解説しておきます。
漢検1級・準1級には毎回決まって出題される問題があります。それが「十干十二支」です。
1問しか出題されないので「たかが1点」だと思われますが、180点あたりになると1点の重みが激しくなります。
見たことある漢字
年賀状か何かで、こういう字を見ることがあると思います。
子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥
この12種類を「十二支」といいます。
じゃあ「十干」って何かというと、こういうやつです。
甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
途中までは契約書や定款などで見ることはありますね。甲乙丙丁までは高校の漢文で習います。
組み合わせて暦をつくる
昔々、「十干」1字と「十二支」1字を組み合わせて暦を作っていました。
例えば「十干」のうちの「甲」と「十二支」のうちの「子」。これを組み合わせると「甲子」です。読みは「コウシ/きのえね」となります。
甲子の年に作った野球場、甲子園はこれが由来だったんですね!
で、暦は60種類あります。もちろんこんなもの覚えません!
- 「十干」は周期10、「十二支」は周期12なので最小公倍数は60。つまり、60番目の暦で「十干」の終わりと「十二支」の終わりがぶつかります。
では何を覚えるかというと「十干」と「十二支」の音読みと訓読みです。
さらにいうと、準1級配当漢字と常用漢字範囲のやつを覚えるだけで十分です。
まあでも、漢字は全部覚えてしまった方が早いですよ。応用も効く(ひょんなことから他の問題に役立つ)かもしれませんからね。
古文常識を前提とした問題
大まかな内容は上でも言いましたが、ちょっと詳しく書いておきます。
合格には必ずしも必要ではない知識ですが、高校古文・漢文の教養を身につけていると、考えやすくなる問題があります。
知っていると便利な古文知識
わがするわざを尤めたまうな。
「わがする」→「私がする」は分かります。「わざ」ってスキルや技能のことだと思いますよね。実は違います!
古文における「わざ」は「行為」「ことの次第」という意味です。神様や仏様が関わる文脈では神事・仏事など、「行事」の意味になります。
もちろん私たちが使う「技能」という意味もあります。実に多義語ですが、この問題ではどれだと思いますか?
ここでは「行為」にしときますか。そういうわけで「私がする行為を」まできました。
- もしかしたら「出家する」文脈が前後にあって、「私を止めないでくれ」という意味かもしれませんね。そういうときは「わざ」=「仏事」ですね。まあ関係ない話ですが。
「尤めたまう」=「尤め」+「たまふ」です。2つの動詞がくっついている複合動詞になっています。
ちなみにいうと「たまふ(給ふ)」は尊敬の補助動詞。しかも、「給ふ」→「たまう」とウ音便化するんですよ。
最後の「な」は禁止の終助詞で、単に「~するな」ということになります。繋げると
私のすることを非難なさらないで
という意味になります。
文脈の把握も一苦労
仮に「尤める」の読みが分からないとしましょう。
普通、分からないときは文脈で判断してあがくことになりますよね。けれども、古文常識がなければ問題を読み上げることすらままなりません。
しかし、上のような分析をすることで「あっそうか、『私のすることを???しないでください」ってことか」となります。
そうなれば、「否定しないで」「真に受けないで」「真似しないで」とかいう具合に絞ることができるようになります。(ここでは「否定しないで」が正解)
……何度も言いますが、基本はあんまり古文常識とかは気にしなくても合格はできます。
ここまで極める必要はないにしろ、「古文・漢文の表現」「古文・漢文の背景知識」が出題されるぞっていうのを覚えておいてください。
国字をマスターしよう
突然ですが、英語に関わるクイズを出しましょう。
「シール」「アイドル」「コンセント」はどんな共通点があるか?
………
答えは 全て和製英語 という点です。
"seal"は「封じる」という動詞、"idol
"は「偶像」、コンセントはそもそも通じません(英語で"outlet"なら文句なく通じます)
英語に「和製英語」があるんなら、漢字にも「和製漢字」みたいなやつがある気がしますよね。
……実はあるんですよ。この、日本独自の漢字を「国字」といいます。
準1級に配当されている「国字」は全部で30字。ちょっと例をあげてみましょうか。
雫 粍 辻 麿 ……
国字は必ず1問出題される
訓読みを答えさせる問題番号21~30の中に必ず1問交じっています。
ということは、国字30個覚えておけば必ず1点取れます!
……って1点だけかよとお思いかもしれませんが、準1級は「あと数点」で不合格っていうのがよくあります。
ギリギリ不合格になりたくないですよね。これはもう、覚えるしかありません!
まとめ
準1級の『読み』問題における概要・対策・その他お役立ち情報を解説しました。
『読み』問題はひたすら解くだけの単純な分野ですが、極めようとするとかなり難しいです。とりあえず8割の得点率になったら他の分野に着手しましょう!極めるのはそれからです。
次は『表外読み』対策を書きます。