2024 静岡県公立高校入試数学 解答
投稿:2023/03/06 更新:2024/09/24
こんにちは! でるてぃーです。
平均点や適当な解答とかはネットに載ってますが、全学力レベル層に対応していないなあと思い、解答を作りました。問題を手元に用意してご覧ください。
この記事は2024年版の解説となっています。
大問1 計算問題
静岡県の大問$1$は長年ずーっと同じ傾向の問題です。細かいパターンの違いはありますが、確実に$12$点拾っておきましょう。取れないと結構痛いです。
大問1 (1)
$[ア]$ 四則演算。符号ミスを誘うだけの問題。
$[イ]$ 文字式の乗除。指数(何乗か表す数)のミスに注意。
$[ウ]$ 分母を揃える文字式。左右の分母に注目し、最小公倍数を考える。この最小公倍数に合う数を分子にも掛ける。
$[エ]$ ルートを簡単な形「○$\sqrt{△}$」にする。
大問1 (2)
式の値の問題。$a$をそのまま代入しないこと。我々そろばん勢ならまだしも、計算が面倒になる。必ず展開して式を整理。
大問1 (3)
$2$次方程式の解を求める。その場に応じた解法を使えるようにしよう。
【考え方】
①「$=0$」の形にする
②共通因数をくくりだす
③「足して○、掛けて△」になる$2$数を考える
④因数分解して解を得る。
⑤それでもだめなら解の公式を使う。
大問2 小問集合
小問集合です。作図、確率、角度といった問題が多いですが、たまに変わり種が入ります。変わり種を入れると平均点が下がるので、こういう小問集合にでも入れるんでしょう。それでも稼いでおきたい大問であることは間違いありません。
大問2 (1)
文章中に$2$つ条件となる文がある。
一つ目は「点$A$を接点とする円$O$の接線」で、$OA$に垂直な直線を引けばいい。
二つ目は「2点$O,B$から等しい距離にある」で、線分$OB$の垂直二等分線を引けばいい。
【考え方】
①点$O$から点$A$の方向へ直線を引き、点$A$から垂線を引く。
②線分$OB$の二等分線を引く。
③直線①と②の交点こそ点$P$の場所である。
大問2 (2)
規則性の問題。$n$が$1,2,3$…と増えていくとある規則性により別の値が変化する問題である。
$6,14,22$…という順番では、右にいくほど$+8$されていることに気づこう。
【考え方】
$6,14,22$…という数字の列に注目すると、右にいくほど$+8$されていることがわかる。
ということは、少なからず$8n$という数が$n$番目にあるはず。$1$番目の数が$6$になるように帳尻を合わせる。
大問2 (3)
丁寧に文章を読み、丁寧に樹形図をかく。もれなく、重複なく。きちんとやれば確率は得点源になる。
同じ玉であっても、確率を求めるときは1つ1つ区別して考えることに注意する。
【考え方】
考えられるパターンを全部書く。もちろん樹形図。慣れた人は表でもいい。
条件を満たすか確認。満たすなら○、そうでなければ×とかを樹形図のところにメモ。
数え間違いに注意。試験終了前にもう一度見る。丁寧にやれば確実に点は取れる。
大問3 連立方程式
連立方程式の文章問題です。長らく大問$4$だったんですが、大問$3$に移動しましたね。でも難易度は変わりません。
割合の考えと万の位にもなる金額の計算で計算ミスをしやすい問題なので注意。
今回の問題は何を$x,y$とおくかで若干計算量が変わりますが、大した差ではありませんでした(下で2パターンやっといた)。
【考え方】
①まずは変数宣言。何を$x$とおき、何を$y$とおくか。これだけでもやって$1$点稼げ! まず「きゅうりの本数」を$x$、「なすの本数」を$y$とおく。
②条件から方程式を$2$式つくる。ここが一番難しい。$2$式のうち$1$式は意外と簡単にかけることが多い。もう$1$式は表かなんかを使って、条件を整理して初めて得られる。
$[1]$「きゅうりとなすは合わせて$360$本用意されており」とすでに書いてある。つまり$x+y=360$。
$[2]$難しい方の条件式は、必ず図表をかいて自分の中で整理しておく。
※「割合」がよくわからなかったらすぐ復習。放置すると面倒なことになります。もちろん「速さ」も。
③自分でたてた連立方程式を解く。今回は割合の問題だから、難しい式を両辺$100$倍。
④解の吟味。確かめ算。
【別解】きゅうりを$x$袋、なすを$y$袋とおいても解くことができます。最後、$x,y$を求めてそのまま答えを書かないように!
大問4 平面・空間幾何
平面・空間図形の問題です。例年大問$5$でしたが、大問4になりましたね。 図形と聞くと$1$年の範囲だけに聞こえますが、$3$年の三平方の定理や、相似の知識を使いまくることになります。初見だと解けない問題もあったりする難しい大問です。
例年難しい大問$5(3)$は、前年度よりも解きやすくなっていました。それでも三平方・相似を総動員して取り組まなければいけないのでやはり敷居の高さがあります。
大問4 (1)
ねじれの位置を正しく把握できるかを問う問題。
【考え方】
ねじれの位置より先に、面$BFGC$と平行な辺を探しておく。そのような辺は$4$つある。
ねじれの位置とは、2直線が交わらず、かつ平行でもない位置ということ。
ということは、$AD,DH$は辺$CD$と点$D$で交わってしまうので候補から削除。残ったやつを答えとする。
大問4 (2)
三平方の定理を$2$回使う。
【考え方】
$KL$の長さを求めるには、$CK,CL$が必要。$CL$は$2cm$と与えられている。
また、$CK$を求めるには$DC,DK$の長さを使って三平方を適用する。
大問4 (3)
例年一番難しい設問。のはずが、今回は難易度が幾分プレーンになっている。
【考え方】
求めたいのは三角錐$T-HRG$。底面の△$HRG$については面積を出すことができる。
体積を求めよという指示があるなら、少なからず高さを求めることができるはず。そのため$T$から底面$HRG$に下ろした垂線の足を$P$とでもおく。
ここで△$DHF$に注目すると、$TP$∥$DH$となり平行線の性質が使えそうである。でもここで手詰まり。
そこで立体を眺めると、$DF$と$CE$が$T$を交点として交差しているのがわかる。しかも、$DS$∥$EF$なので砂時計型の相似条件を使うことができる。
これにより相似比を使って$TP$の長さを求め、三角錐の体積を求めることができる。
大問5 データ分析
度数分布表、ヒストグラム、箱ひげ図などのデータを分析する問題が出題されます。$(2)$では連続で箱ひげ図が出題されました。
大問5 (1)
累積というのは、小さい階級からの累積という意味。小さい階級から注目する階級までの相対度数を足したものを累積相対度数という。
【考え方】
計算ミスしないように全神経を注ぐだけ。
大問5 (2)
箱ひげ図を見て、正しいこと・誤っていること・箱ひげ図からは分からないことの判別が必要。
【考え方の例】
[$ア$]範囲=最大値-最小値。それぞれの組で比べると$1$組が最も大きいので正しい。
[$イ$]$8$時間以下の部分に注目。$2$組では下位$25$%の人たちがちょうど入っている。$3$組で下位$25$%の人が全員$8$時間以下というわけではなく、下位$25$%のトップ(第$1$四分位数)は$9$時間である。よって$2$組のほうが多いので正しい。
[$ウ$]箱ひげ図からは、具体的なデータを読み取ることができない。つまり、ちょうど$20$時間という具体的なデータはわからない。
[$エ$]平均値を求めるには、具体的なデータ全てを知っているうえで、総和をデータ数で割ることで求められる。よって箱ひげ図からはわからない。
大問6 関数総合
関数のグラフによって構成される大問です。$2$乗に比例する関数$y=ax^2$、一次関数$y=ax+b$,反比例$y=\frac{a}{x}$の総合問題になります。
今年は前年度同様、共通テストみたいな対話形式の問題です。またもやタブレットを使って点$P$を動かしてます。
関数の総合問題でやるべきことは次の$2$つです。
$[1]$点のすぐそばに座標$(○,△)$をかいておく。まだ比例定数がわかっていなくてもとりあえずかく。$a$が入っていてもいい。
$[2]$文字が確定したら座標の数字を変えていく。
問題に取り組む前に、与えられたグラフにこのような書き込みを入れておきましょう。
大問6 (1)
曲線①は双曲線。しかも通る点が分かっている。つまり基本の式$y=\frac{a}{x}$に点$A(-6,3)$を代入すると$a$が求められる。
大問6 (2)ア
今年は変域の問題である。点$P$が動くことによって、曲線②つまり$y=ax^2$の開き具合が変化する。
点$P$は点$A$から点$B$へと移動する。その間の$y=ax^2$の挙動を下に示す。
点$P$が点$A$にいるときに$a$は最小となり、点$B$にいるときに$a$は最大となる。
大問6 (2)イ
例年と同様に記述問題である。下では2つの解法を示す。
解く前に、いろんな点の座標をかいておく。求めるべき$a$を使ってでも書く。
【考え方】
四角形$ADOB$の面積と△$BOC$の面積が等しいという条件を使う。
このうち、四角形$ADOB$の面積については計算して求められる。点$B$から$x$軸に垂線を下ろした足を点$E$とおくと
四角形$ADOB$=台形$ADPB+$△$OBP$
であることがわかる。次に△$BOC$の面積を求めたいが、$OF$の長さが必要。下では$OF=h$とおいて、△$BOC$の面積について等式をかく。
これにより$h=11$と分かる。さらにこの$h$は直線$BF$の$y$切片でもあるので、直線$BF$の式を求める。
最後に、文字$a$で表された点$C(4,16a)$は直線$BF$上にあるので代入し、$a$を求めることができる。
【別解】(計算がやや面倒)
四角形$ADOB$の面積を求めるまでは同じ。
このあと△$BOC$の面積を無理やり求めるため、直線$BC$の$y$切片を求める。
あとは△$BOC$を図のように等積変形し、面積を求める。
最後に「四角形$ADOB$の面積」$=$「△$BOC$の面積」という等式を立て、$a$を求める。
大問7 証明
今回は$6$年ぶりに二等辺三角形の証明が出ました。合同でも相似でもなく、しかも難度が高い年でした。
図形の証明問題である$(1)$と、それに付随する小問$(2)$とで構成されています。配点は$(1)6$点とかなり大きく、$(2)$は$3$点です。この$(2)$は大抵$(1)$の結果を使います。
$(1)$の証明には部分点があるので、示すべき三角形の宣言や見つけた条件だけでも書いておきましょう。捨て問という選択もありますが、部分点のことを考えるとちょっともったいない気もします。
つまり、証明の書き方が大体分かっていて、かつ時間が余ったときに取り組むのが吉。得意な人は自分の好きなようにやればいいです。
※注意! 大問$7(2)$は図形に強い人でも沼にハマることが多いです。この問題に限り、時間が空いたとき以外はやらないという選択も考えてください。
大問7 (1)
証明問題に取り組むうえでやってほしいことは次の$3$つ。
【考え方】
$[1]$文章中にある「条件」に下線を引く。
$[2]$下線部にしたがって図に書き込む。「同じ角」にはプレステのマーク(○×△□)やいつもの角のマーク$\measuredangle$、「同じ長さの辺」なら$1$本線,$2$本線,……,「平行」なら くの字マーク。
$[3]$求めるべき三角形の把握。
詰まったら問題文にかえる!下線を引いていない「条件」がまだあるかも。図で見落としていることはないか?
今回は二等辺三角形の証明。便宜上、補助線として弦$CE$を引いておく。
まずは仮定条件として△$ABD$が二等辺三角形であることを使う。(白いマーク)
さらに仮定条件として∠$EFC=$∠$ABC$。(黒いマーク)
$\stackrel{\huge\frown}{AB}$に対する円周角。(○マーク)
$\stackrel{\huge\frown}{BC}$に対する円周角。(△マーク)
$\stackrel{\huge\frown}{CE}$に対する円周角。(□マーク)
$\stackrel{\huge\frown}{EA}$に対する円周角。(白いマーク)
△$ABC$について
黒いマーク=○$($∠$ACB$$)$+△
だった。△$FEC$に注目すると
∠$ECF=$黒いマーク+△=○
である。
さらに、外角の性質を使う。△$AED$に注目すると
白いマーク=○+□
となり、∠$ACE$(白いマーク)を∠$ECF$(=○)と∠$ACP$(=□)に分離できる。
よって、△$PAC$が二等辺三角形であることが証明された。
大問7 (2)
今回は角度の問題だった。ポイントは、「弧の比はそれぞれに対する円周角の比に等しい」という知識。
【考え方】
まず仮定条件を書き込む。
対頂角で∠$PFE=49$°であるから、∠$PEF$の大きさは
$180°-90°-49°=41°$
ということになる。
$\stackrel{\huge\frown}{AB}$に対する円周角。
見出しの最初に述べた性質、「弧の比はそれぞれに対する円周角の比に等しい」を使う。
つまり、例えば円周角が$30$°、$60$°の弧はそれぞれ$1:2$の比になっている。
話を戻す。$\stackrel{\huge\frown}{BC}:\stackrel{\huge\frown}{CE}=4:5$であるから、「$\stackrel{\huge\frown}{BC}$に対する円周角」$:$「$\stackrel{\huge\frown}{CE}$に対する円周角」$=4:5$ということである。
これにより、適当な文字(下図では★)を用いて「$\stackrel{\huge\frown}{BC}$に対する円周角」$:$「$\stackrel{\huge\frown}{CE}$に対する円周角」$=4★:5★$とする。
ここで、外角の性質を使う。△$ADB$に注目すると、∠$ADB$はそれと隣り合わない内角($5$★と$41$°)の和に等しい。
そして△$ABD$が二等辺三角形であることを用いることで、△$ABD$の内角について方程式を立てることができる。
最後に得られた★を
∠$ABE=5$★$+41$°
に代入することにより答えが得られる。
まとめ
今年は証明が難しかったですね。大問も若干変化がありましたが、良問揃いでした。平均点は上がると予想されますが、最上位層にとっては厳しい戦いだったと思われます。
高校入試を控える中学生の助けになれば嬉しいです。