2023 静岡県公立高校入試数学 解答
投稿:2023/08/31 更新:2024/09/24
こんにちは! でるてぃーです。
平均点や適当な解答とかはネットに載ってますが、全学力レベル層に対応していないなあと思い、解答を作りました。問題を手元に用意してご覧ください。
県内では一応進学校に入っていたこともあり、懐かしみながら取り組んでみました。
大問1 計算問題
静岡県の大問$1$は長年ずーっと同じ傾向の問題です。細かいパターンの違いはありますが、確実に$12$点拾っておきましょう。取れないと結構痛いです。
大問1 (1)
$[ア]$ 四則演算。符号ミスを誘うだけの問題。
$[イ]$ 文字式の乗除。次数(何乗か表す数)のミスに注意。
$[ウ]$ 分母を揃える文字式。左右の分母に注目し、最小公倍数を考える。この最小公倍数に合う数を分子にも掛ける。
$[エ]$ ルートの有理化。
大問1 (2)
式の値の問題。$a,b$をそのまま代入しないこと。我々そろばん勢ならまだしも、計算が面倒になる。必ず展開・因数分解。
大問1 (3)
$2$次方程式の解を求める。その場に応じた解法を使えるようにしよう。
【考え方】
①「$=0$」の形にする
②共通因数をくくりだす
③「足して○、掛けて△」になる$2$数を考える
④因数分解して解を得る。
⑤それでもだめなら解の公式を使う。
大問2 小問集合
小問集合です。作図、確率、角度といった問題が多いですが、たまに変わり種が入ります。変わり種を入れると平均点が下がるので、こういう小問集合にでも入れるんでしょう。それでも稼いでおきたい大問であることは間違いありません。
大問2 (1)
文章中に$2$つ条件となる文がある。
一つ目は「点$A$から辺$OY$に引いた垂直線上」で、これは垂線を引けばよい。
二つ目は「2辺$OX,OY$から等しい距離にある」で、$OX,OY$によってできる$∠XOY$の二等分線を引けばよい。
【考え方】
①点$A$から線分$OY$に向かって垂線をおろす。
②$2$線分$OX,OY$による角の二等分線を引く。
③直線①と②の交点こそ点$P$の場所である。
大問2 (2)
中学校ではすっぽかされる「逆」。中学生向けに「ことがら」と書いてあるが、真偽のはっきりすることがらを高校以降では「命題」と呼ぶ。
命題の真偽といった論理は、高度な数学になるほど重要になっていく。そして、命題の逆を聞く問題は初めて見た。それでも、「逆」は中学数学の教科書にも確かに載っている。
【考え方】
「$A$ならば$B$」の逆は「$B$ならば$A$」。
正しくないことを証明するには、「こうするとおかしくなる」一例をあげる。たった$1$つでいい。
大問2 (3)
丁寧に文章を読み、丁寧に樹形図をかく。もれなく、重複なく。きちんとやれば確率は得点源になる。
【考え方】
考えられるパターンを全部書く。もちろん樹形図。慣れた人は表でもいい。
条件を満たすか確認。満たすなら○、そうでなければ×とかを樹形図のところにメモ。
数え間違いに注意。試験終了前にもう一度見る。丁寧にやれば確実に点は取れる。
大問3 データ分析
度数分布表、ヒストグラム、箱ひげ図などのデータを分析する問題が出題されます。もともと高校数学だった「データの分析」の内容が新指導要領に入ったので、今年は絶対出ると予想していましたが、案の定出ました。
大問3 (1)
箱ひげ図の見方や書き方に慣れていればできる。
【考え方】
「$あ$」は中央値(メジアン)を表している。「$12$」は第$1$四分位数、「$29$」は第$3$四分位数である。
また、四分位範囲=第$3$四分位数-第$1$四分位数である。
大問3 (2)
思考力が必要な問題。箱ひげ図から分かる情報から、$a$の正体をあぶりだすことにする。
【考え方の例】
「$a$」を入れても入れなくても最小値$7$、最大値$34$だから、当然$a$は$7$より小さくないし、$34$より大きくない。($7$<$a$<$34$)
すると、$11$個のデータをならべようとすると両端は確定する。
中央値は$25$だから真ん中の○が決まる。
真ん中より左にある○は$4$個。しかも「$10$」「$12$」「$16$」「$23$」はこの$4$個に入るしかない。入れてみると「$12$」はちゃんと第1四分位数になっている。
第$3$四分位数は「$32$」となっている。「$25$」と「$32$」の間に○は$2$個あるが、その$2$個は「$26$」「$29$」の指定席である。
すると一番右が「$a$」が入るべき場所で、その$a$は$32$以上$34$以下でないとつじつまが合わない。
大問4 連立方程式
連立方程式の文章問題です。単純な個数・金額の計算のときもあれば、割合が交じった問題も出ますね。
大問$1$では連立方程式の代わりに$2$次方程式が出題されています。これは、$2$次方程式の文章題をいざ作ると難しい問題になることが多いからだと僕は考えています。
連立方程式なら、方程式を$2$つ自分で立てさせるくらいでちょうどいい難易度になります。ただし、$1$式は簡単でもう$1$式は難しい式になることを覚えておいてください。
式が立てられなかったら、何とかして文字の宣言だけでもして$1$点稼いでおきましょう。白紙で帰らない。泥臭く、反骨精神で。
【考え方】
①まずは変数宣言。何を$x$とおき、何を$y$とおくか。これだけでもやって$1$点稼げ! ここでは「集めた鉛筆の本数」を$x$、「集めたボールペンの本数」を$y$とおく。
②条件から方程式を$2$式つくる。ここが一番難しい。$2$式のうち$1$式は意外と簡単にかけることが多い。もう$1$式は表かなんかを使って、条件を整理して初めて得られる。
$[1]$「鉛筆はボールペンの$2$倍」とすでに書いてある。つまり$x=2y$。
$[2]$難しい方の条件式は、必ず表をかくこと。ここでは団体を横、筆記具を縦にする。
※「割合」がよくわからなかったらすぐ復習。放置すると面倒になります。もちろん「速さ」も。
③自分でたてた連立方程式を解く。今回は割合の問題だから、難しい式を両辺$100$倍。
④解の吟味。確かめ算。
大問5 平面・空間幾何
平面・空間図形の問題です。それだけ聞くと$1$年の範囲だけに聞こえますが、$3$年の三平方の定理や、相似の知識を使いまくることになります。初見だと解けない問題もあったりする難しい大問です。
例年難しい大問$5(3)$は、捨てる選択も用意しておいてください。逆に、試験場でこれができたら相当な実力を持っています。
大問5 (1)
投影図の問題。むしろ中学受験に出てきそうな感じだが、焦らずこなす。
【考え方】
立面図は立体を「正面」から見た図。平面図は立体を「真上」から見た図。飛んでる鳥目線なら、どんな地上も「平面」になる。
大問5 (2)
扇形の弧の長さ。弧の長さといっても、本質的には円の円周と同じ。
【考え方】
円の円周は直径×円周率。直径は半径の$2$倍。半径を$r$としてかっこよく言うと、$2πr$。
扇形はピザ。すなわち、1周$360$度のうち$110$度分だけ切ったピザということ。円周も$110$度だけ切られて、「弧の長さ」になる。
大問5 (3)
一番難しい設問。例によって、数学が苦手なら捨ててしまおう。得意なら、焦らずに。図形問題のため、焦るとヒントが見えなくなることが多い。
【考え方】
とりあえず、辺の長さや角度を分かるところからどんどん調べていく方針でやる。
問題の条件から、線分$AO$と線分$DE$は平行。しかも$AD=DB$。すると中点連結定理が見えてくる。
すると$OE=EB=3/2=\frac{半径}{2}$となる。
ここで△$OEF$について三平方の定理で$EF$の長さを求めておく。
さらに△$OAB$について$1:2:√3$の関係があるから、それを使って$DE$を求める。
$DE$と$EF$の長さがわかるから、△$DEF$に注目して三平方の定理。$DF$を求めることができる。
また、△$ODB$は二等辺三角形だから$OD=OB=3$となる。
このおかげで、求める部分である△$ODF$が二等辺三角形であることが判明する。あとはむりやり高さを求め、三角形の面積の公式を使う。
大問6 関数総合
関数のグラフによって構成される大問です。$2$乗に比例する関数$y=ax^2$、一次関数$y=ax+b$,反比例$y=\frac{a}{x}$の総合問題になります。
なんと今年は共通テストみたいな対話形式の問題になり、新傾向でした。しかし設問のほうはいつもと同じで、肩透かしをくらった感じでした。
関数の総合問題でやるべきことは次の$2$つです。
$[1]$点のすぐそばに座標$(○,△)$をかいておく。まだ比例定数がわかっていなくてもとりあえずかく。$a$が入っていてもいい。
$[2]$文字が確定したら座標の数字を変えていく。
問題に取り組む前に、与えられたグラフにこのような書き込みを入れておきましょう。
大問6 (1)
文字がどんな値かを計算する問題が出る。$2$乗に比例する関数$y=ax^2$を通る座標を代入。
大問6 (2)
変域の問題がよく出るが、今回は正誤判定の問題となり、頭でグラフを動かす思考力がないと解けない共通テストのような問題である。思考力というか、関数やグラフについてしっかりした知識がないと難しい。
$[ア]$ $y=ax^2$で$a$を大きくするとどんどん狭くなるので正しい。
$[イ]$ $y=ax^2$で$a$を小さくするとどんどん広くなる。広くするほど(点$A$の$y$座標)$-$(点$B$の$y$座標)は小さくなる。頭の中でグラフを動かしてみるとわかる。よって誤り。
$[ウ]$ $y=ax^2$で$a$を大きくするとどんどん狭くなる。すると点$B$だけは上にいく。それでも底辺$OE$は同じ場所にいて長さは変わらないので、高さ大きいと面積も大きいといえる。点$B$が上に行くと、△$OBE$の高さは小さくなるので誤り。
$[エ]$ $y=ax^2$で$a$を小さくするとどんどん広くなる。それに伴って直線$OB$の傾きが小さくなるので正しい。
$[オ]$ $y=ax^2$で$a$を大きくするとどんどん狭くなる。すると線分$CF$はどんどん広がっていく。よって誤り。
以上より答えは $ア,エ$ となる。
大問6 (3)
数学が苦手ならこの問いは後回しにしよう。得意ならただの図形問題だから、答案にはあがけるだけあがいた跡を残しておこう。今回の$(2)$は全部合って$2$点であり、何かミスがあるかもしれないので余計に白紙は許されない。
これを解く前に、いろんな点の座標をかいておく。求めるべき$a$を使ってでも書く。
【考え方】
下線部$イ$「$3$点$D,G,F$は一直線上」とは、「$2$直線$DG,DF$の傾きが同じ」ということ。「$DG,GF$」や「$DF,GF$」の傾きが同じだとしてもいいが、座標が整数である点$D$を使うと一番ラク。
この状態では点$G$の座標がわからないので、問題文にかえり条件を探す。すると「点$G$は直線$AB$上の点であり,その$x$座標は$1$」と書かれている。
よって、まずは直線$AB$を表す式を求め、そこに点$G$の$x$座標$1$を代入して$y$座標を求める。これより点$G$の座標を比例定数$a$を使って表せる。
以上を踏まえて「$2$直線$DG,DF$の傾きが同じ」つまり($DG$の傾き)$=$($DF$の傾き)という方程式を立て、$a$について解けばよい。
大問7 証明
図形の証明問題である$(1)$と、それに付随する小問$(2)$とで構成されています。配点は$(1)6$点とかなり大きく、$(2)$は$3$点です。この$(2)$は大抵$(1)$の結果を使います。
$(1)$の証明には部分点があるので、示すべき三角形の宣言や見つけた条件だけでも書いておきましょう。捨て問という選択もありますが、部分点のことを考えるとちょっともったいない気もします。
つまり、証明の書き方が大体分かっていて、かつ時間が余ったときに取り組むのが吉。得意な人は自分の好きなようにやればいいです。
※注意! 大問$7(2)$は図形に強い人でも沼にハマることが多いです。この問題に限り、時間が空いたとき以外はやらないという選択も考えてください。
大問7 (1)
証明はただのパズルに過ぎない。慣れていくうちにどんどん楽しくなる。だまされたと思って、早いうちからたくさんやっておきたい。
証明問題に取り組むうえでやってほしいことは次の$3$つ。
【考え方】
$[1]$文章中にある「条件」に下線を引く。
$[2]$下線部にしたがって図に書き込む。「同じ角」にはプレステのマーク(○×△□)やいつもの角のマーク$\measuredangle$、「同じ長さの辺」なら$1$本線,$2$本線,……,「平行」なら くの字マーク。
$[3]$求めるべき三角形$2$つの把握。合同・相似条件を満たすか図を見て確認。
詰まったら問題文にかえる!下線を引いていない「条件」がまだあるかも。図で見落としていることはないか?
今回は相似条件。それぞれ等しい$2$組の角を見つける。(他の相似条件は使われた例がない)くわしいことは下の図を見てほしい。
大問7 (2)
今回の問題で二番目に難しい。偏差値$70$を目指す諸君、「第$3$の二等辺三角形」に気づかなければ満点は取れない。
【考え方】
まずは$(1)$の結果を用いる。例え$(1)$が解けていなくても。
説明のため、今ある二等辺三角形について確認する。「第$1$の二等辺三角形△$BAC$」、「第$2$の二等辺三角形△$GCD$」。
$△BCG \sim △ECF$の相似比が分かるかどうかを考える。$GC=4cm$,$FC=2cm$だから、相似比は$2:1$ということが分かる。
第$2$の二等辺三角形△$GCD$に注目すると、$GC=GD=4cm$である。問題文によると$BD=6cm$であるらしく、$BG=BD-GD=2cm$となる。
そして、$△BCG \sim △ECF$をもう一度用いる。$BG:EF=2:1$だから、$EF=1cm$である。
一見、ここで手詰まりとなる。$GE$の長さを求めたいのだが、$ED$の長さが分からない。$GE=GD-ED=4-ED$止まりとなる。
この問題は、もう一度図に条件を書き込むところから再検討することで道を開ける。
$\stackrel{\huge\frown}{AB}$に対する円周角により$∠ACB=∠ADB$,$AD$と$EF$が平行でその錯角$∠ADB=∠DEF$である。
これにより「第$3$の二等辺三角形△$FDE$」が誕生し、しかも「第$2$の二等辺三角形△$GCD$」と相似の関係にある。
$FE=1cm,GD=4cm$より、相似比は$1:4$となる。つまり$ED:CD=1:4$であり、$CD=3cm$だから、$ED=\frac{3}{4}cm$。
以上により
$GE=GD-ED=4-\frac{3}{4}=\frac{13}{4}cm$
という答えが得られる。
まとめ
いかがだったでしょうか。例年よりも一層共通テストのにおいがする問題セットでした。
高校入試を控える中学生の助けになれば嬉しいです。