静岡県公立高校入試数学 分析
投稿:2023/08/31 更新:2024/05/08
こんにちは! でるてぃーです。
最近、機会があって公立高校の問題を解きまくってました。今回は数学の出題パターンをみていくことにしましょう。
大問別出題傾向
静岡県公立高校入試数学は、最近は大問7つで構成されており、出題分野が大体決まっています。
以下、順番に見ていきましょう。
大問1 小問集合
毎回同じパターンです。配置も問題も同じ。(当たり前ですが数字はちがいます)
まず最初の(1)ア,イ,ウ,エ は計算問題。(1)エ はルートの有理化が必要な中3の分野ですが、他3問は1年生でもできる内容です。
次に(2)ですが、「因数分解→代入」というお決まりの問題です。最悪代入だけでもできますが、やはり計算ミスがこわい!
(3)は2次方程式ですね。出題されうるのは3パターンで、それぞれ
と勝手に呼んでいます。ただし、「解の公式型」は最近あんまり見かけません。
※あんまり言うとアレですが、解の公式に当てはめればどの問題も倒せます。受験までに時間がなさすぎて、私の妹には解の公式だけ使わせてました。(もう忘れてると思われるが……
大問2 小問集合
なんと直近5年は作図と確率がセットで出題されています!しかも作図は皆勤賞です(後述しますが確率も)。毎回出題されているようなので狙い目ですね。
(2)だけは毎回ランダムです。しかも変なのが出題される傾向がありますね。
「文字を使った式」「比例の式」「双曲線の式」はそれ以前から出題されていて、似たような問題がいろんな塾で作られています。その影響かは知りませんが、最近ではあんまり見かけません。
昔は(4)もあり、統計(データを分析する系の分野)が出されてましたが、データの分析は大問3に移動しました。
大問3 データ分析
最近の大問3はデータの分析ですが、昔はここに確率がありました。ということは確率も毎年出題されています。
出題内容は多岐にわたっており、文科省が口癖にする「思考力」を問う問題も多いです。
データの分析に関する分野では、ことばが多いので頭の中で上手く整理しておきましょう。下の専門用語を説明できますか?
例)範囲,階級値,四分位数,中央値,代表値・・・
大問4 連立方程式
連立方程式の文章題は、大問が違っても毎回出題されます。最近は大問4固定です。
気になるのは、4年連続で割合が出題されている点ですね。それ以前では「速さ」「割合」や、ふつうの過不足問題など幅広く出題されてました。よりによってふつうの過不足問題が難しい。
連立というからには条件式が2つ必要です。大体「簡単な条件式」「複雑な条件式」の2つを作って連立することになります。
複雑な条件式のほうはなるべく表を作って、自分の中で混乱しないように立式したいですね。
大問5 平面・空間幾何
最近は立体図形の問題が固定されている大問です。出題内容も多岐にわたり、なかなか難しい分野です。
動点や回転体、折り返し線分などのギミックが出題されるので、問題をたくさんこなさないと得点源にはしづらいです。
例年(3)が難しく、偏差値70近くの受験生でも解けないことがあります。ただ、図形問題をやってきた中学受験組が強い傾向にあります。
かといって諦めるべき大問でもなく、(1),(2)ならできるかも。簡単な知識があれば解ける問題もあります。下の求め方、忘れてませんか?
扇形の面積・中心角,ねじれの位置,円錐・円柱の表面積・体積・・・
大問6 関数総合
見ただけで捨てたくなる関数の問題。しかし、実はパターン問題の宝庫でもあります。
座標を代入して比例定数を求めたり、「2点」「1点と傾き」から直線の式を出す。さらには変域もよく出るパターン問題です。
(3)は何か図形的な条件を与えて、2次関数の比例定数を求める問題です。毎回出ますが、求め方も書かないといけないのが面倒なところ(しかも回答欄が小さい)。
関数が苦手でも、訓練次第では(1),(2)なら取り組めるようになれます。
大問7 証明
多くの人が捨て問にする証明問題です。(2)がくっついていますが大問5(3)に次いで難しいことが多いです。
とはいえ、部分点はもらえますから、あがけるだけあがいた方がいいかもしれません。合同・相似条件が3つ揃わなくても書いときましょう。
ちなみに、直近6年間では合同→相似→相似→合同→相似→相似と続いています。昔から大体合同33.3%,相似66.6%の出題率となっており、3年に1回は合同証明が現れます。
……ってことは、この流れで行くと2024年は合同証明か??(もしそうなら笑える
カテゴリ別出題傾向
ここからは中学数学の分野別出題傾向をまとめました。
2次方程式・作図
2次方程式はさっきも言った通り、「因数分解型」「平方完成型」「解の公式型」の3パターンですね。絶対ミスしないように。
作図は毎年出ます。基本は「垂直二等分線」「角の二等分線」を使い倒すだけ。接線のかき方もマスターしよう。
確率・関数(大問6以外)
確率も毎回出ます。樹形図や表を使って、漏れなく重複なく数えてあげましょう。上位層でも数え間違いが起こるのでていねいに!
比例や反比例(双曲線)のグラフを表す式をが出題されます。ただ、かくべきグラフは比例か反比例化は問題文には与えられてませんので、文章をよく読みましょう。
文字を使った式・その他
その他の問題については問題の種類が多くて、傾向はよくわかりません。高得点には幅広い知識が必要というわけですね。
連立方程式
連立方程式の文章題は必ず出ますが、文章題といっても種類があります。ただ、最近は割合の問題が多いですね。
昔は難しい問題が多かったですが、最近は取り組みやすい問題になってきています。
料金の計算には「0」が多く(桁が多い)、小数点の位取りで間違えたりすることもあるので注意。
仮に完答できなくても、変数宣言や条件式1つでも書いておけば、部分点がもらえるかもしれません。1点にこだわっていきましょう。
データ分析
(1)は基本問題が多いです。なるべく落としたくない。
(2)は結構変な問題が多いです。データの個数を追加したり除去したりする問題など、思考力が問われます。
立体図形
(1),(2)をくらべると、若干(2)が難しいといったくらいで、出題分野に大きな特徴があるわけでもありません。何が出るかピタリと当てるのはできない。
そのため、たくさん図形問題を解いて慣れるほかありません。受験まで時間がなければ他の問題をやろう!
(3)は毎回難しいので、40点以上を狙う人にしかおすすめはしません。(それでも出題パターンは限られています)
関数総合
表を見てみると、なんとなくパターン問題があることに気づくはずです。
実際の問題では2次関数が2つ(a>0とa<0)と直線・双曲線が引かれているような配置です。< /p>
そして、「比例定数を求める」「変化の割合」「直線の式」「変域」のどれかが出題されています。ホントにパターンです。
……しかし、2023年にはグラフの挙動を答えさせる問題が出題されました。共通テストの影響か、思考力を問う問題を出したいのかもしれません。
もしかすると、パターンから外れるような問題も今後出るかもしれませんが、きっと無理のない難易度だと思います。
(3)は毎度おなじみ比例定数の求値です。図形的な条件(「面積が~」「二等分する~」など)が与えられて解く問題です。求め方まで書かせるのが厄介。
証明
ラスボス、証明問題です。大体3年に1回合同証明が出題されます。つまり相似証明が多いということ。
こういった証明問題はたくさんの問題を解いてようやく実力が身につく分野です。しかしながら1問解くまでのハードルが高い。
その敷居の高さは幅広い図形の知識が原因で、三角形、四角形、円、相似、平行線の性質といった分野を横断する知識が必要です。
しかし、これらの障壁をすべて突破し、たくさん問題を解いていると、証明問題はただのパズルになります。上位層はナンプレとかクロスワードとかと同じ気分で解いています。
なお、(2)では必ず(1)で証明した事柄を使います。注意したいのは、別に(1)の証明ができなくても、(1)の事実は使っていいということです。
ですが、大問5(3)に次ぐレベルで難しいなんてこともザラで、時間がなければこの大問7は捨てた方がいいという場合もあります。
平均点の推移
県の教育委員会が発表した年度ごとの数学と、5教科合計点の平均を下に示しておきます。
※県外の方が見てるかもしれないので一応言うと、静岡県は1教科50点満点で、合計点は最大250点となっています。
年 | 数学 | 合計点 |
---|---|---|
2024 | 24.16 | 141.06 |
2023 | 26.15 | 142.92 |
2022 | 24.64 | 147.85 |
2021 | 22.39 | 139.05 |
2020 | 25.39 | 145.60 |
2019 | 26.71 | 142.12 |
2018 | 22.71 | 126.52 |
2017 | 23.44 | 122.26 |
2016 | 22.84 | 132.05 |
2015 | 23.57 | 145.77 |
2014 | 26.38 | 142.25 |
2013 | 21.55 | 141.68 |
最近は24点以上とやや易化しています。2021年度はそこまで難しい問題のセットではなかったんですが、なぜか22点台と出来が悪い。
昔は22点台位が平均点で、取り組みにくい問題も多かったです。詳しい得点別のグラフは入手していませんが、どの年度も上位層は40点以上取れているようです。
というのも、僕は2018年度に偏差値70の高校に入ってから成績開示があったわけですが、みんな数学は45点以上。自分の他にも満点がゴロゴロいる世界でした。
数学は諦めるべきか?
他教科に比べて平均点が軒並み低い数学ですが、成績中間層は伸びにくいものの、成績下位層なら伸ばせる科目だと思っています。
それは大問1の計算問題12点と、毎年確実に出る作図・確率で4点、他の大問で(1)を正解するだけで、どんな受験生でも20点とるチャンスがあるからです。
平均点は24点くらいですから、20点も取れれば全然戦えます!
要するに、静岡県公立高校入試数学では、20点まで伸ばしやすく、平均点から30点までに壁があります。その壁を超える(ある程度実力が付く)と、40点、45点……とレベルアップする科目です。
余談
妹が公立入試を受験したときの話です。
静岡県の中3生は、「県学力調査」というテストを夏・秋に2回受けます。妹は1回目に46点、2回目に41点とりました。
何がって、これ5教科合計の点数です。
静岡県のテストは1教科50点満点ですから合計点は250点満点ですよね。2回目の県学力調査に至っては、得点率16.4%です。もし1科目100点のテストなら、5教科合わせても100点すら満たない。
当然ですが、こんなやつを入れてくれる公立高校なんてありません。なので、なんとかしてテコ入れをしました。5教科全部の対策をしてやったんですが、その際に頭を使ったのは「数学」。実際の問題をつかってパターンを分析、類題を選んで解かせてやりました。
すると、2回目の県学力調査で数学2点だった奴でも、本番で20点とることができました。こうやって成績を開示してるってことはつまり、公立高校にも受かったのです。
※他にも対策したことはいっぱいありますよ。本人は英語の知識0だったので、問題別に「ア,イ,ウ,エのどれが当たりやすいか」を何年分も研究したり、歴史単語千本ノックしたり……いろいろやりました。
……多分もう言いたいことは伝わったと思いますが、問題を研究することは非っっ常に大事です。もしかすると何か抜け穴があったり、パターン問題があったりするからです。出やすいと分かってる問題を対策すればよいのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。静岡県公立高校入試数学をいろいろな角度から分析したデータをお伝えしました。
これを見た1人でも点数が伸びるようお祈りしています。