段位応用計算 第13講 複利現価

投稿:2024/08/26 更新:2024/09/24



こんにちは! でるてぃーです。

今回は第13講、複利現価です。超簡単に言えば、複利終価と逆の操作をする計算です。

ちょっと難しいですが、頑張っていきましょう!

まずは複利終価の復習

まず元金があって、1年ごとに利息がつくんでした。第11講の内容を数字だけ変えて載せておきます。


¥$1,000,000$を年利率$2$%で$3$年借りることを考えましょう。

1年目

¥$1,000,000$に$2$%の利息が付きます。1年目終わりの元利合計は

$1,000,000×1.02=1,020,000$

¥$1,020,000$となります。

2年目

2年目開始時の元金は¥$1,020,000$です。2年目終わりには、この元金に利息計算がなされます。

つまり、2年目終わりの元利合計は

$1,020,000×1.02=1,040,400$

¥$1,040,400$となります。

3年目

一応3年目も練習しましょう。

3年目開始時の元金は¥$1,040,400$です。3年目終わりには、この元金に利息計算がなされます。

つまり、3年目終わりの元利合計は

$1,040,400×1.02=1,061,208$

¥$1,061,208$となります。


とりあえず、3年目までの元金の推移を表にしてまとめました。

将来価値から逆算したい

上の議論を踏まえて考えてみましょう。

年利率$2$%で$3$年後に¥$1,061,208$になる元金って、いくらでしょう?


一年ごとに複利計算がなされるわけですから、逆算して$÷1.02$すればいいですね。

上の表を逆にたどると、元の¥$1,000,000$にもどることが分かると思います。

このように、将来価値から、金利(利息)を全て取っ払った現在価値複利現価といいます。

字面だと難しいので上の例で当てはめてみましょうか。

$3$年後の¥$1,061,208$が将来価値です。年利率$2$%、$3$年分の金利は¥$61,208$ということになりますよね。

この金利を将来価値から差し引いた¥$1,000,000$が現在価値ということです。「将来の$x$円は、今いくらなのか?」を求めるのが複利現価というわけだ。

さらに具体例

すごいリアリティのある計算シミュレーションをしましょう。収入はあんまりだけど頑張って働いている人が、建売の物件を探し回っています。

年利率$1.0$%、$35$年ローンで$4,000$万円(金利込み)の家を買ったとします。(簡単のため利率は固定、ボーナス払いや頭金は考えないものとする)

これだけの大金を借りるうえに、何十年も借りるという責任は重く、その責任の分だけ金利がついてまわります。

普通はこんなことしませんが、もしも現金一括で買った場合、住宅ローンの金利なんて全部外れますよね。ならば


将来の$4,000$万円は、今払うと何円なのか?


そこで複利現価の出番です。

元金$x$円に利率$1$%分、つまり$\times 1.01$を$35$回繰り返した結果が$4,000$万になったってことですよね。これは複利終価。

$x\times (1.01)^{35}=40,000,000$

じゃあ逆に$4,000$万に$1.01$を$35$回割りまくると現在価値が分かります。

$40,000,000÷(1.01)^{35}=28,236,567\cdots$

キャッシュで一括払いすると、なんと$2,800$万円くらいで済んでしまうのです!金利というのはいかに無慈悲で残忍なものかわかると思います。

……自分たちの「家」って当たり前にあると思ってた子供時代。実は当たり前のはずはないんです。これはもう、親に感謝だな。

電卓がないと面倒

話をもとに戻しましょう。

$3$回「$÷1.02$」するのも面倒ですよね。なんか便利グッズとかないのでしょうか。

……実はあるんです。複利終価で使った「複利終価表」のようなものが複利現価にもあります。「複利現価表」といいます。

この値(複利現価係数といいます)を使うことで、「将来の$x$円は、今いくらなのか?」という皮算用を爆速で計算できます!

ただし、『段位応用計算』の問題文には、すでにこの複利現価係数がついています。ただしダミーの値までついているので、よーく見極めよう。

表を使ってみよう

¥$1,061,208$から、年利率$2$%、$3$年分の金利を取っ払った現在価値を求めます。その際

$2$%,$3$期

の値に注目します。

今回は$0.94232233$という値ですね。これを将来価値¥$1,061,208$にかけ算します。

$1,061,200\times 0.94232233=999,992.4\cdots$

と、元金¥$1,000,000$にめちゃめちゃ近いですね!

でも、ぴったり¥$1,000,000$にならないのは、表の値が小数第8位までで省略されているからです。

そして、表の値はある法則にしたがって羅列されているわけですが……また今度「段位応用計算特論・・」でご紹介しましょう。

諸注意

次の$2$つは言っていることが違うように聞こえますが、数学的な意味は同じです。全く同様に計算します。

①年利率$2$%、$3$年後の将来価値¥$500,000$は、現在価値としていくら?

②年利率$2$%、$3$年後に支払うべき負債¥$500,000$は、今支払えば何円で済む?

試験での対応

現在価値=将来価値×複利現価係数

注意したいのは、問題文に「¥$1,000$未満切り上げ」と書いてあること。

実際の問題には早見表の値が複数載っていて、どれかはダミーである。よく見極めよう。

練習問題

【問題】9年後に支払う負債¥1,300,000を年利率3.5%,11期の複利で割り引いて,いま支払うとすればいくらですか。(¥1,000未満切り上げ)

【解答】

複利現価表の値を読み取りましょう。今回読み取る部分は年利率$3.5$%、$9$期なので

$0.73373097$

です。これに支払うべき負債¥$1,300,000$をかけ算しましょう。それだけです。

$0.73373097\times 1,300,000=953,820\cdots$

¥$1,000$未満を切り上げて、¥954,000となります。


まとめ

これで将来価値から現在価値へ逆算することができます!ちょっと難しかったですね。

次も似たような話。複利年金終価に入ります。

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プロフィール

でるてぃーメモ 管理人

大学2年。趣味はそろばんと資格勉強。個別指導塾とHP更新のバイトをしています。


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