段位応用計算 第15講 減価償却・定額法
投稿:2025/02/27

こんにちは! でるてぃーです。
今回は第15講、減価償却のうち定額法を扱います。
ここも丸暗記で済ませてしまいがちな分野です。
減価償却の意味からていねいに解説します!
- 問題の解き方だけ知りたい方は、本文をすっ飛ばしてください。問題を解いたあとに読んでみるとわかるかも。
目次(見出しにジャンプします)
減価償却とは
1年ごとに、モノの価値を均等に減らしていく計算処理です。
どこのサイトを見ても難しいことばかり書いてありますが、基本はこういった適当なイメージでいいです。
モノの価値は変動する
世の中にはいろんなモノがあります。
スーパーで買った総菜やお菓子のような簡単に手に入るものや、エアコンや冷蔵庫といった高いものもあります。
ましてや、車や家といった「0」の多いものまで。
こういった「モノ」の中で、減価償却という計算の対象になるのは何でしょう?それは
1年以上は使い続けるモノ
です。こういったモノのことを
固定資産
といいます。難しそうな言葉ですが、所有者が「固定」の「資産」ってだけです。上の例で言うとエアコンや冷蔵庫、車や家にあたります。
- スーパーの総菜やお菓子なんて、その日のうちに食って終わりですからね。計算する意味はありません。
そして、重要なことがひとつ。こういった固定資産の価値は変動します。
例えば、新車と中古車って同じ価格で売られてませんよね。もちろん車の種類やデザインは同じと仮定します。

中古車だってもともとは新車だったわけですが、時間が経つにつれてどんどんその価値は下がっていきます。
やっぱりモノですから、部品が劣化したりするわけです。
じゃあ価値はどう変動する?
いくつか疑問点が湧きます。
固定資産の価値は、どうやって減っていくんでしょう? 同じ減り方なのか、急激に減るタイミングがあるのか?
もっというと、いつまで価値が下がる? 最後には何円になる??
ここでは「価値の減り方」「最後には何円になるのか」が重要です。
これを知ることで、『段位応用計算』で出題される問題の状況設定が分かるようになります。
「残存簿価1円」・「耐用年数」
どんどん新しい単語が出てきますね……ゆっくりでいいので是非覚えておきたいところです。
なんと、固定資産は最終的に1円になります。0円ではありません。
文章中の「残存簿価」は最終的に残る価値のことをいっていて、1円と法律で決まっています。
さらに、1円になるまでにかかる年数は、固定資産によって異なります。例えば以下の図を見て下さい。

モノにはよりますが、(家庭用の)エアコンは6年で1円の価値になります。パソコンは4年ですね。
このように、1円に償却されるまでの年数を
耐用年数
といいます。つまり、例えば$100,000$円で買ったエアコンは毎年ごとに償却されていき、耐用年数である6年後に1円になるってわけです。
- なぜ残存簿価は0円じゃないかというと、償却が終わっても(会社とかで)モノをまだ使ってるよってことを表現するためです。エアコンを例にしたら、もう使わなくなって廃棄したときに1円が0円になります。詳しくは簿記を勉強しよう。
そうそう、最初の価値のことを取得価額といいます。今回の場合、エアコンを買った時の金額ですね。
つまり取得価額は$100,000$円です。
「減価償却」で価値を計算
『段位応用計算』では、減価償却の計算方法として2種類の問題が出題されます。それは
定額法,定率法
です。今回扱うのは定額法のほうです。
定額法とは
毎年同じ金額ずつ価値を減らしていく計算方法です。
耐用年数まで同じ金額を償却しつつ、最後には残存簿価として1円が残るってことですね。償却のイメージはこんな感じです。

それでは具体的に計算していきましょうか。
耐用年数6年のエアコンで試算
さっき例に出ましたね。$100,000$円で耐用年数6年のエアコンを買ったとします。
定額法ですから、毎年同じ金額ずつ償却されます。
じゃあ、$100,000$円を6等分した$16,666$円ずつ減らせばいい感じがしますね。実際にやってみますか。

こんな感じですね。ちゃんと同じ金額ずつ償却されていることがわかります。
でも待てよ、耐用年数の6年目だけ3円多いですね。これは計算ミスではありません。
耐用年数になると1円になるんでしたよね(残存簿価1円)。これが理由で最後の年に償却額を調整しているというわけです。
でも計算がめんどくさい
毎回いちいち表なんて書いてたら検定が終わってしまいます。
ですがご安心を。『段位応用計算』の問題はこんなに計算しません。
具体的にいうと、「ある年までの償却額累計」「ある年の首帳簿価額 」の2パターンしかありません!
パターンごとの攻略法は、2個後の見出しでご説明します。
出た!やっぱり早見表
先ほど$100,000$円を6等分しましたよね。耐用年数が6年で、この年数だけ償却するからでした。
だけど、$100,000÷6$って地味に面倒ですね。暗算できると思いますが、万が一のミスを防ぎたいものです。そこでこちら。

こちらは「減価償却率表」という早見表です。ここで「償却率」というものが出てきました。
もう覚える言葉はこれで最後なので、もう少しの辛抱です。
償却率とは
償却額を計算するときに都合のいい数です。具体例で手っ取り早く説明します。
1年目(第1期)で100,000円の償却額を計算しましたが、この表の値
$0.166$
を使って次のように計算すると速いです。
$100,000\times 0.166=16,600$
償却率は小数第3位までですから、さっきとは下の位が違いますが、早見表を積極利用すると速いですよ。
一応、今回の場合を同様の表に示しておきました。

パターン①:償却額累計
おまたせいたしました。『段位応用計算』の立ち回りをご説明しましょう。
まず、ある年までの「償却額累計」を求める問題です。
具体例:第5期末償却額累計

さっきの図をもう一回出しました。緑色の塗りつぶしの部分が「第5期末償却額累計」を表しています。
とはいっても、5回償却されているだけ。しかも償却額は定額です。じゃあ単純に
償却額$\times 5$
ですね。ほんとこんだけですよ。つまり償却額は
$100,000\times 0.166$
だったので、第5期末償却額累計は
$100,000\times 0.166 \times 5$
$=83,000$
となります。
パターン②:首帳簿価額
次は首帳簿価額ですね。「首」は年はじめを意味しています。
要は、ある年の償却される前の価値を出してください、ってことになりますね。
具体例:第4期首帳簿価額

今度はこちら。黄色い塗りつぶしの部分が「第4期首帳簿価額」です。
第4期はじめまでに、もうすでに3回償却されているわけですよね。ということは
取得価額$-$償却額$\times 3$
ですね。もっというと
取得価額$-$償却額$\times (4-1)$
です。なんか$(4-1)$っていうのが最初の式より複雑ですが、あとで公式を覚えるときにありがたみが分かってきます。
そういうわけで、具体的数値を代入していくと
$100,000-(100,000\times 0.166\times 3)$
$=100,000-49,800$
$=50,200$
となります。やや難しいですが、慣れれば十分対応できます!
さて、定額法2パターンの練習問題をやりましょうか。
試験での対応
パターン①:第n期償却額累計
第$n$期累計償却額$=$償却額$\times n$
パターン②:第n期首帳簿価額
第$n$期首帳簿価額$=$取得価額$-$償却額$\times (n-1)$
※実際の問題には早見表の値が載っている。
練習問題①:償却額累計
【問題①】
取得価額¥7,510,000,耐用年数27年の固定資産を定額法により減価償却すれば,第13期末償却額累計はいくらですか。ただし,決算は年1回,残存簿価は¥1とする。
【解答】
減価償却率表の値を読み取りましょう。今回読み取る部分は耐用年数$27$年、定額法償却率$0.037$です。

まず、償却額は取得価額に償却率をかけ算すると求められますね。
償却額$=7,510,000\times 0.037$
そして償却は13回されてますね。公式に当てはめると
$7,510,000\times 0.037 \times 13$
$=3,612,310$
以上より、第13期末償却額累計は¥3,612,310となります。
13って耐用年数27年の大体半分です。ということは、全体の半分くらい償却されたということですよね。
つまり、取得価額の半分くらいの値になっているなと軽く検算できます。
- 一応補足。「決算は年1回」っていうのは、単に1年ごとに計算するよってだけです。気にしなくてオッケー。
練習問題②:首帳簿価額
【問題①】
取得価額¥5,080,000,耐用年数18年の固定資産を定額法により減価償却すれば,第7期首帳簿価額はいくらですか。ただし,決算は年1回,残存簿価は¥1とする。
【解答】
減価償却率表の値を読み取りましょう。今回読み取る部分は耐用年数$18$年、定額法償却率$0.055$です。

パターン①同様に、償却額は取得価額に償却率をかけ算して求めます。
償却額$=5,080,000\times 0.055$
そして、首帳簿価額は年はじめの価値でした。
ってことは、「第7期」と書いてありますが実際は6回償却されています。公式に当てはめると
$5,080,000-5,080,000\times 0.055 \times 6$
$=3,403,600$
以上より、第7期首帳簿価額は¥3,403,600となります。
この固定資産は、まだ価値が350万円近く残っていることになりますね。
まとめ
おつかれさまでした。定額法はこんな感じですかね。
しかし、まだ減価償却は終わりではありません。次は「定率法」のお話をします。
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