この記事では『段位応用計算』の解説を載せています。
全珠連の段位検定における科目,応用計算の問題パターンを網羅することを目指します。

今回は第9講,利付相場りつけそうば・裸相場はだかそうばです。
計算は第8講 単利法と似ていますが,内容は少し難しいです。

  • ※内容が難しかったらすっ飛ばして,練習問題のほうを見てくれて大丈夫です。その後で説明を見ると分かるかも。

知っておくべきこと

利付相場・裸相場を勉強する前に,知っておくべき知識があるので説明します。

有価証券とは

文字どおり,金銭的価・値を有・するクーポン券(証券しょうけん )のことです。

有価証券の例として以下のようなものがあります。

  • 約束手形やくそくてがた
  • 小切手こぎって
  • 株式かぶしき
  • 社債しゃさい

詳しい意味は次の見出しで説明しますが,『段位応用計算』で出題される有価証券は

株式,社債

この2つだと思ってください。
ビジネス計算の分野でも主要な有価証券はこの2つになります。

株式とは

会社が経営資金などを集めるために発行する証券のことです。
そして,株式を発行している会社を株式会社とよびます。

株を買う人(会社に出資する人)は株主かぶぬしとよばれ,会社にとっては重要なビジネスパートナーとなります。

また,会社は株主に対して配当金はいとうきんを与えたり,株主が集まる株主総会かぶぬしそうかい でいろんな情報を与える義務があります。
あと,株主優待ゆうたいなんかで機嫌をとっていますね。

社債とは

基本的に株式と同じ。会社がいろんな人からお金を集めるために発行する証券のことです。

株式も社債も個人からお金を借りてますが,何の違いがあるんでしょう。それは

返済義務が会社にあるかないか

です。社債はどこかのタイミングで完全に返さないといけません。

ということは,会社にとって社債は「借金」であるということです。会社の負債と考えればオッケー。

借金には金利(利息)がつく

これは第8講 単利法で勉強しました。
当然,お金を借りているわけですから金利(利息)がつきますよね。

ちゃんと返済期日(償還日しょうかんび)までに借金を完済する義務が会社にあります。
これが返済義務です。

……もちろん,株式と社債の違いはこれだけではありません。
詳しいことは簿記やビジネス計算の世界で勉強してください。

  • 社債(債券)を買う立場になってみましょう。返済義務が会社にあるってことは,株よりもローリスクで投資できますね。価格の下降を食らっても資産運用できるならハイリスクハイリターンの株式という選択も。

実際の売買方法

社債(債券さいけんともいう)を買うとき,額面の100%の値段で買うわけではありません。
社債も価値が変動していて,毎日市場価格がコロコロ変わっていきます。

そして,『段位応用計算』では¥$100$あたりの市場価格で買うという実用的なルールになっています。
この「¥$100$あたりの市場価格で買う」という部分は,あとでちゃんと説明します。

経過利子(端数利息)

社債は借金だという話はさっきしましたね。時間経過で金利(利息)がついていきます。

金利(利息)は利子ともいいますよね。経過して発生した利子だから経過利子けいかりしとよびます。
経過利子は端数利息はすうりそくともよばれます。

  • ※経過利子は『段位応用計算』において単利法の計算しか出題されません。第8講 単利法と計算が似ている理由がここにあります。

経過利子=額面×利率×$\frac{経過日数}{365}$$\cdots(1)$

裸相場とは

額面を¥$100$あたりの市場価格で買ったとき(時間経過ナシ)の値段のことです。
「裸」とついているのは,経過利子がついていない相場だからです。

例として,「額面¥$1,000,000$,市場価格¥$98.80$」のときを考えます。

市場価格は¥$100$あたりですから,裸相場は

$1,000,000×\frac{98.80}{100}=988,000$

¥$988,000$となります。このように,裸相場は

裸相場=額面×$\frac{市場価格}{100}$$\cdots(2)$

という公式によって計算できます。

利付相場とは

やっとメインテーマにたどり着きました。
社債を買った人に対して支払われる価格を「利付相場」といい,次の式で計算できます。

利付相場=裸相場+経過利子$\cdots(3)$

『段位応用計算』ではこの「利付相場」を求める問題が出題されます。

試験での対応

  • ①$(2)$式により裸相場を求める。額面×$\frac{市場価格}{100}$を計算。
  • ②$(1)$式により経過利子を求める。計算の仕方は単利法による利息計算と同じ。
    円未満切り捨てに注意。

    経過利子=額面×利率×$\frac{経過日数}{365}$

  • ③$(3)$式により利付相場を求める。

    利付相場=裸相場+経過利子

練習問題

【問題】

【問題】2.8%利付社債,額面¥780,000を市場価格¥81.50で買い入れると支払額はいくらですか。ただし,経過日数は89日とする。(経過利子の円未満切り捨て)

【解答】

初見では問題文の意味が分からないと思うので,文章を補完します。

【問題】2.8%利(率が)付(いている)社債(で),額面¥780,000を(¥100あたりの)市場価格¥81.50で(誰かが)買い入れると(その誰かに対して会社が)支払(うべき金)額はいくらですか。ただし,(利息分が発生する)経過日数は89日とする。(経過利子の円未満切り捨て)


①$(2)$式により裸相場を求めましょう。

$780,000×\frac{81.50}{100}=635,700$

裸相場は¥$635,700$となります。

②$(1)$式により経過利子を求めましょう。

$780,000×0.028×\frac{89}{365}$
$=5,325.3\cdots$

円未満を切り捨てして,経過利子は ¥$5,325$ですね。

③$(3)$式により利付相場を求めて解答終了です。

$635,700+5,325=641,025$

答えは ¥641,025となります。