僕は小学校3年の夏にそろばんを始めました。
それから時は流れ,14年。大学生になっても細々と練習しています。
今回は,そろばんがこの少年に与えた能力,そろばんが持つ可能性をただ喋るだけの記事です。
せっかくなので,日本珠算連盟が挙げる6項目についても自己を振り返ってみることにします。
暗算力獲得
そろばん塾ではそろばんを弾く練習だけでなく暗算(珠算式暗算
といいます)の指導もします。
単純に暗算力を手に入れることができます。
暗算の検定をこなしていけば,3級で3桁×1桁,2級で2桁×2桁,1級で3桁×2桁を計算できるようになります。
段位に進むと,もっと大きな桁数を練習するようになっていきます。
もちろんかけ算だけでなく,四則演算(+-×÷)全部できないと検定を合格できません。
レジのお釣りの計算といった日常的なものから,算数・数学や理科で出るやや大きめの数のかけ算・わり算もすぐに計算してしまいます。
要は学校の勉強でスムーズにいく部分があるということですね。この能力にいろいろな所で世話になりました。
- バスの待ち時間とかで,次々とやってくる車のナンバープレートの数字で遊んだりします。「あ 28-75」とか書いてあったら,28×75=2,100みたいに。
課題解決・成功体験
検定試験や大会の経験が成功体験に
そろばん塾では検定試験をたくさんやります。
僕も着実に8級からスタートして1級を取り,段位の試験を20回くらいやってきました。
次の級のレベルを知る。そのレベルに向かって腕を磨く。挑戦し合格。また次の級へ……という繰り返しですね。
あるいは大会もたくさんやってきました。
小学校までは1度も賞なんて取れませんでしたが,中学からポツポツ入賞し始めました。
大会で高得点を取るための戦略を研究したり,いろいろ自分なりに工夫したりしました。
何回も合格や入賞を重ねていくうち,自分に自信がついてきます。
そりゃそうですよね。自分で行動して自分で合格しているわけですから。
そろばんに限らず,いろんなところで物事の解決のために今必要なことは何か,現在地はどこなのかといったことを探るようになったのは,確かに習った後のことです。
資格取得や受験に影響
あとは,資格取得にはまりました。そろばんの検定試験と同じ感覚で打ち込むことができます。
高校受験から勉強をするようになり,今では理系の大学で難しいことをやるようになっています。
少なからずそろばんで培った課題解決力が資格取得や受験に影響し,結果こんな人間ができたのではないでしょうか。
右脳と左脳の両方を使える
イメージと言語の使い分け
医学科の友達に聞いたことですが,ざっくりいうと脳には俗に右脳と左脳と呼ばれる領域があります。
右脳はイメージ(非言語),左脳は言語を司るとされます。
学校の勉強って,教科書を読んでノートを取って……文字ばっかりですね。左脳型の学習です。
一方,そろばんって実体は計算機ですよね。計算機といっても電卓みたいに数字が出ているわけではありません。
上下に動かす珠の配置に過ぎません。ただのイメージです。
塾でそろばんを弾くうちに,珠の配置というイメージを覚え,頭の中にそろばんが仮想的に形成されていく感じです。
ふつうの勉強では左脳ばかり使いますが,そろばんをやることで右脳が発達,機能が拡張されていくということですね。
そうして両方の領域を使って効率的に物事を考えられるような人間になっていくのです。
右脳の記憶力は膨大
右脳は左脳よりも膨大な記憶容量を持つため,何か暗記しようと思ったらイメージで効率よく覚えることができるわけです。
僕は特に,日本史を勉強するとき資料集をじっくり見るタイプの人間でした。漢字もパーツで覚えられます。
しかしアルファベットの組み合わせである英単語はなかなか覚えられません。
- 例えば"memorize"(記憶する)という単語があったら,「神経衰弱やってる子供たち」みたいなイメージを勝手につけて覚えてます。
右脳も左脳も効率よく使える人間ってハイパフォーマンスを発揮できる感じがしますね。
そろばんは地頭を育てる習い事でもあるのです。
日本珠算連盟が掲げる6項目
注意深く観察する力
数字を読み取ることの繰り返しが,洞察力につながるらしいですね。
「この物事にこの数字は大きい/小さい」を通して,程度を「はかる」ことができる能力ということでしょう。
確かに,理系の勉強や研究とかでも役に立ってますね。
数値の大きさからある程度の整合性が分かりますし,的外れな桁数だったら「なんか違うな」とか分かります。
イメージやひらめきの力
さっきも出ましたが,右脳の話ですね。
右脳は課題解決やひらめきを発生させるようです。
今って頑張ってひらめかなくても,生成系AIに聞けば一発じゃないですか。
今後,課題解決力のある人材の需要が高まっていくのは分かりきったことです。
社会の未来を変えていくそろばん勢が今後増えるんですかね。僕がその一人になれるかはちょっとわかりませんが。
記憶する力
これも右脳の話です。メモリとしての機能性が右脳の方が圧倒的に優れるということですね。
確かに,エビングハウスの忘却曲線と,イメージで覚える習慣だけで僕は受験を渡り歩いてきたといっても過言ではないです。
僕だって字だけで覚えるのは苦痛です。そろばんの経験が,本能的に記憶の仕方を変えたかもわかりませんね。
集中する力
これは一番共感できますね。
検定試験ってものすごい計算量です。その計算過程の1つでもミスが起こると,最終結果である答えがズレます。
珠算の検定におけるかけ算問題は,1級ともなれば6桁×5桁の計算です。引用している日珠連の検定(※)で1級の場合,この桁数を20問やります。
例. 280,773$\times$62,194=
たった1問で30回の九九を行っていることになりますね。
かけられる数が6個の数字,かける数が5個の数字で構成されているので,かけられる数1個につき5個と九九を行うわけです。
- つまり分配法則みたいなものですが,よくわからなかったら飛ばしてください。
この30回の九九は,僕の速さだと15秒以内で行われます。1回が0.5秒ってやっぱりものすごい処理能力。
これを20問繰り返し,1回もミスらない集中力。これを上手くやったので,1級を満点合格したこともあります。
そろばんで培った集中力が,まあ多分学校の勉強や受験に活かされているとは思います。
というよりそもそも勉強中にスマホを見ないのと,音楽を普段から聴かないというのもあると思ってます。
むしろ逆に,「スマホを触らないでいられる」というのが集中力なんでしょうかね。
-
※正確に言うと,1級までの検定「日商検定」を扱うのは日本商工会議所ですが,段位の検定は日本珠算連盟が主催しています。
また,そろばんの検定はいろんな団体が主催しています。全国珠算教育連盟や,全国珠算学校連盟などいろいろです。
情報を処理する力
そろばんの学習は,右脳だけでなく左脳も使います。
「数」というものを誰かに伝達する手段として,数を読んだり,数を紙に書いたりしますよね。
珠の配置というイメージは,人に伝えるには分かりづらいですから,これを数字にする必要があるということです。
そろばんの学習では,非言語的な「珠の配置」→言語的な「数字」に変換して,計算の答えを書いていきます。
競技では,0.1秒でも速く計算するために,答えを書いている最中に次の問題を見ています。
特に暗算の問題は,左脳で「書きながら次を先読み」すると同時に右脳で計算するというテクニックが要求されます。
冷静に考えると,一度に3個のことをやっていたんですね僕は。マルチタスクすぎてよくわからなくなってきました。
- 確かに,簡単なフラッシュ暗算は誰かと喋っててもできます。運転しながら喋るのと同じだと思っているのですが,僕は免許を持っていません。
速く聴き,速く読む力
「ねがいましては~、ニヒャクロクジュウキュウオクサンゼンニヒャクナナジュウイチマン……(超高速)」
みたいな感じでどんどんデカすぎる数を足していく計算,テレビとかで見たことありますか?
これは,「読み上げ算」というものです。競技では一つの種目として競われます。
この対策をしていけば,数字を速く聴いても理解できるようになります。
一方,速く読む力に関して言うと,大きな数を見て一瞬で桁数が分かったりしますね。
これも多分,処理能力の速さがアピールポイントでしょう。
「情報を処理する力」と微妙に違う点として,どんな状況でも計算しようとする頭に瞬間的に切り替えられるということだと思います。
そろばんが与える効果は,結局のところ暗算力や集中力,継続する力,処理能力といった脳本来のパフォーマンスを引き出すということです。
子どもがやれば地頭を育て,大人がやればこれからの人材に求められる能力を鍛えることができるでしょう。
年配の方も脳トレの一環として,昔のそろばんの勘を取り戻したりすることもできます。ゼロから始める方もいるようですね。