さまざまな連盟がある
そろばんの検定試験は,いろんな連盟が主催しています。
メディアでよく聞くのは日本珠算連盟,全国珠算教育連盟の2つですね。
他にも魅力のある連盟はあるのですが,まずは検定試験がどういうものかを,上の2つの連盟が主催する検定を例にお話ししましょう。
日本珠算連盟
日本珠算連盟(略称:日珠連
)は,全国の商工会議所と強い結びつきがあり,そろばんの啓蒙活動を行っています。
日本商工会議所は「日商珠算・暗算検定」1級~3級を,日珠連は段位と4級~10級の試験を主催しています。
検定試験だけでなく,いろいろな競技大会も運営しています。
日珠連は全国各地に支部を置く大きな連盟です。同連盟の会員である珠算塾の代表や講師は,セミナーや講習会に参加して指導者としての腕を磨き続けています。
全国珠算教育連盟
全国珠算教育連盟(略称:全珠連
)も,日珠連と同じレベルの規模を持つ連盟です。
検定試験や大会の運営,珠算教育者を目指す者への手厚い研修事業など,そろばんの啓蒙活動を続けています。
珠算検定は15級~1級と段位,暗算検定は10級~1級と段位のレベルまで実施しています。
級も段位も,難易度の壁が緩やかなスモール・ステップ方式になっているのが特徴ですね。
- 検定は他にも,フラッシュ暗算の検定や読み上げ算の検定などいろいろあります。
日珠連の検定試験
珠算検定
1級までの検定
日珠連は日本商工会議所とともに運営しています。
日本商工会議所は「日商珠算・暗算検定」1級,2級,3級を主催します。
一方,日珠連は段位と準1級,準2級,準3級および4級~10級の試験を主催しています。
どのレベルであっても「かけ算」「わり算」「見取算」の3科目によって構成されます。
見取算は,足し算のみや引き算も含む足し算を10回繰り返す科目になっています。
3級以上になると,小数を含む問題が半分交ざります。
-
日商珠算1級レベルの「かけ算・わり算」
それぞれ20問やります。
-
日商珠算1級レベルの「見取算」
これが10問あります。
また,制限時間30分(7級以下は20分)以内に全科目を解答するところが特徴。
他の検定や大会では,1科目ごとに制限時間が決まっているのですが,この検定ではタイムマネジメント能力が特に必要です。
検定問題の見本を見てみると,各級で扱う桁数が確認できます。
- 日商珠算1級を満点で合格すると,記念品贈呈とともに表彰されます。満点を取るまで受けるリピーターもいます。僕は3回挑戦して達成しました。
段位認定試験
1級を超えたVIPの世界です。
科目こそ「かけ算・わり算・見取算」で同じですが,1科目ごとに制限時間10分が設定されています。
問題数は1級の3倍。制限時間内にどれだけ点数を取れたかで段位が認定されます。
日珠連の段位試験は,一つ段位が上がるまでにものすごい壁があります。
段位は準初段からありますが,これでもすごいです。というかそもそも1級が難しいので。
六段以上になると,1級の2倍以上の問題を正答する必要が出て,計算方法によっては計算時間の面で原理的な限界を迎えます。
無駄を極限まで減らす弾き方が肝要で,トッププレイヤーは暗算で行う人もいます。
- 自分の計算方法だと,五段あたりで限界です。さらに時短できる計算方法への慣れが大きな壁になっています。
暗算検定
1級までの検定
1級から10級まであります。準1級,準2級,準3級も設置されています。
珠算検定と同じく「かけ算」「わり算」「見取算」の3科目によって構成されます。
また,すべてのレベルで制限時間12分の間に3科目全てに解答します。
検定問題の見本を見てみると,各級で扱う桁数が確認できます。
段位認定試験
科目こそ「かけ算・わり算・見取算」で同じですが,珠算検定と同様,1科目ごとに制限時間が設定されています。
かけ暗算・わり暗算は3分,見取暗算は4分です。問題数もものすごい量で時間的余裕はありません。
自分が一度に扱える桁数に限界があると,どうやっても次の段位へ昇段できません。
必要な桁数に適応し,精度とスピードを兼ね備えるまで習熟するのは,途方もない努力です。
全珠連の検定試験
珠算検定
1級までの検定
1級から15級までの検定級が用意されています。
15級~10級までは「見取算」のみ,9級では「かけ算」が入って2科目です。
8級~1級では「かけ算」「わり算」「見取算」の3科目は必須の科目として出題されます。
さらに,準3級~1級のレベルでは,上の3つの科目に加え,選択科目というものが存在します。
「伝票算」「暗算」「応用計算」のうちから2科目を選びます。全部やれば,いいほう2科目が採用されます。
伝票算では,試験の時に伝票が配られます。あるページからあるページまでぱらぱらめくって全部足して解答する科目。
応用計算はなんと算数の文章題。金利の問題や,約束手形の問題といったビジネス計算の問題もちょっと入っています。
この2科目はなかなかトリッキーな科目で,日珠連よりも幅広い計算種目が問われます。
暗算は3分,応用計算は10分,それ以外は全部7分で行われます。
段位認定試験
「かけ算・わり算・見取算」は必須の科目。選択科目は「伝票算」「暗算」「応用計算」の他に「開法」が登場します。
開法とは,ある数の平方根または立方根を求める問題です。
例.$\sqrt{58,049,161}=$
例.$\sqrt[3]{69,375,867,029}=$
わかりやすくいうと,「何の2乗なのか」「何の3乗なのか」を計算します。
段位を取るためなら小学生でもルートを勉強させられます。ルートは中3で習いますね。
また,応用計算は難しさの種類が違います。
大人でも悩ます簿記や会計,経理に関わる問題もあり,新しく勉強をしないといけません。(単利複利法,年金計算,年賦償還,減価償却など)
- 全珠連の珠算段位の検定でも,応用計算をせずに帰る受験者も多いです。商業科の高校生ばっかりになってます。
日珠連の段位試験と比べてちょっと難易度は抑えめですが,やっぱり高段位になっていくと難しくなります。
いずれにしても,段位を取れているだけで素晴らしいことです。
「かけ算・わり算・見取算」で要求されるレベルは,日珠連よりやや緩いです。
緩いといっても最終問題の桁数が多かったりして,時間的に息苦しいのは間違いありません。
また,選択科目で伝票算に壁が発生しますが,応用計算でカバーできます。
- 商業高校でいう簿記やビジネス計算のレベルですが,高段位取得のためなら勉強です。
暗算検定
1級までの検定
1級から10級まであります。
10級~8級は「見取暗算」だけ。7級で「かけ暗算」が含まれ,6級~1級で「かけ暗算・わり暗算・見取暗算」の3科目になります。
制限時間はレベル・科目問わず全て3分です。
段位認定試験
段位試験になっても「かけ暗算・わり暗算・見取暗算」のセットで制限時間3分なのは変わりません。
珠算段位よりかは比較的高段位が取りやすいです。
レベルの高い選手だと,九段まではなんとか取れるようになりますが,十段までの壁が結構あります。
各科目40問中,許されるミスが6問から2問に激減し,あと一歩でどれかの科目が届かないことが多いです。
さらに,日珠連にもあるのですが,過去数回のうちに既得段位以上の成績だった科目を免除する有効段位制があります。
「かけ暗算」だけうまくいかず八段だったが,前回の検定では「かけ暗算」で九段取れていたら,九段を取ったことになります。
しかし十段だけは一発で3科目全て十段レベルの点数でなければいけません。十段を取ることは本当に難しいですね。
- 全国レベルの大会『全日本珠算選手権大会』があるのですが,こちらは珠算・暗算段位と同じ問題で制限時間が半分になります。こうでもしないと差がつかないということですが,トッププレイヤーたちはこの条件下でも十段を取れます。
そろばんの検定試験について紹介しましたが,大事なこととして下の級から着実にステップアップしないと上手くならないということですね。
どんなトッププレイヤーであっても,最初は1桁の足し算を頑張ってそろばんの盤面上で計算するところから始まります。