この記事では『段位応用計算』の解説を載せています。
全珠連の段位検定における科目,応用計算の問題パターンを網羅することを目指します。

今回は第10講,株式売買についてです。
もう一つの有価証券である株式を扱っていきましょう。

  • ※ここも前回と同じく、説明が難しいかもしれないので、すっ飛ばしても大丈夫です。練習問題で手を動かした後の方ほうが分かるかも。

知っておくべきこと

株式を勉強する前に,知っておくべき知識があるので紹介します。

有価証券とは

文字どおり,金銭的価・値を有・するクーポン券(証券しょうけん )のことです。

有価証券の例として以下のようなものがあります。

  • 約束手形やくそくてがた
  • 小切手こぎって
  • 株式かぶしき
  • 社債しゃさい

詳しい意味は次の見出しで説明しますが,『段位応用計算』で出題される有価証券は

株式,社債

この2つだと思ってください。簿記の分野でも主要な有価証券はこの2つになります。
今回は株式についてお話ししましょう。

株式とは

会社が経営資金などを集めるために発行する証券のことです。
そして,株式を発行している会社を株式会社とよびます。

社債(債券)との違い

第9講でも言いましたが,社債は「会社の負債」。つまり借金です。
株式もお金を借りているという意味では借金になりますが,その違いは

返済義務が会社にあるかないか

です。社債はどこかのタイミングで完全に返さないといけません。

あなたがある会社の債券を買ったら,ほぼ間違いなく利子もつけたお金が返ってきます。
一方,株式の場合は返ってこないこともあります。会社が倒産したりして,返済ができなくなった場合も。
また,株式による利益は「買った時より高く売る」ことや,会社からの配当金です。配当金は次の見出しで説明します。

社債はローリスクで投資できますが,株式はハイリスク。
しかし,株式市場でもっと自由に売買できるという流動のしやすさが持ち味です。
社債は基本的に契約が終わる(満期)までずっと持っているものです。

その商品,出資する価値があるか?

会社がいい商品やサービスを作り上げてお金を巻き上げるためには,まずはお金が必要。
そのために株を誰かに買ってもらうことで資本を手にするということです。

株を買う人は,その会社が作る商品やサービスを信頼し,よい売上を見越して買います。
売上や業績がいいと,会社は株を買ってくれた人へ利益の一部をあげます。これが株で儲けるしくみです。

  • 売れなさそうなものに対して投資しようとは思いませんよね。会社は株を買ってもらうために,いい商品を開発したり,一生懸命プレゼンしないといけません。

株主とともに会社を運営していく

株を買う人(会社に出資する人)は株主かぶぬしとよばれ,会社にとっては重要なビジネスパートナーとなります。
また,会社は株主に対して配当金はいとうきんを与えたり,株主が集まる株主総会かぶぬしそうかい でいろんな情報を与える義務があります。
あと,株主優待ゆうたいなんかも発行して機嫌をとっていますね。

  • 中学では公民の経済分野で勉強します。

株主の株式売却

さっきも言いましたが,株式は有価証券のひとつです。
株式は社債と違って売り買いできる市場があるんでしたね。
株を売るまでにはいろんな場所が関わっています。

株式売却に関わる三者

『段位応用計算』の問題で,株式を売却するときに関係する三者は以下の通り。

  • 株主
  • 証券取引所
  • 株式会社

売却するときの関係図はこんな感じです。

この図に書いてある「約定代金やくじょうだいきん」「手数料」といった用語はこれから説明していきます。

約定とは

売り手と買い手が互いに出す条件が一致して,取引が成立した状態をいいます。

要は,取引が色々決まってあとは払うだけの状態ですね。
このとき決まった金額のことを「約定代金」といいます。

手取金

上の図をみると,株主は株式会社から直接買うのではなく,証券取引所が中継して買います。

つまり,株式で儲けた金額から,証券取引所による仲介手数料を引かれます。

株主の手取金$=$約定代金$-$手数料

この手取金てどりきんが株主の純益になります。

株主の株式購入

株式を買うときも,この三者が関係します。

  • 株主
  • 証券取引所
  • 株式会社

購入するときの関係図はこんな感じです。

「約定代金」や「手数料」の存在は変わりません。
しかし今回は「買う側」ですから,約定代金の方向がさっきと逆ですね。

このとき,株主の支払総額は

株主の支払総額$=$約定代金$+$手数料

となります。

試験での対応

『段位応用計算』では2パターン出題されます。

  • 【問題①】株式売却による「手取金」
  • 【問題②】株式購入による「支払総額」

手取金を求める

株主の手取金$=$約定代金$-$手数料

支払総額を求める

株主の支払総額$=$約定代金$+$手数料


まず約定代金を計算し,問題用紙にメモ。位取りの間違いに注意!
次に約定代金の値を用いて手数料を計算します。

練習問題

【問題①】

株式を1株につき¥430で21,000株売却した。手取金はいくらですか。ただし,約定代金の0.900%に¥5,500を加えた手数料を支払うものとする。

【解答】

これは株式「売却」のパターンですね。
まずは約定代金を求めましょう。

$430×21,000=9,030,000$

次に手数料です。約定代金の$0.9$%に$5,500$を足したものになりますね。

$9,030,000×0.009+5,500$
$=86,770$

求める手取金は,約定代金$-$手数料ですから

$9,030,000-86,770=8,943,230$

となり,答えは ¥8,943,230となります。

【問題②】

株式を1株につき¥1,080で6,500株買い入れた。支払総額はいくらですか。ただし,約定代金の0.700%に¥16,500を加えた手数料を支払うものとする。

【解答】

これは株式「購入」のパターンですね。
まずは約定代金を求めましょう。

$1,080×6,500=7,020,000$

次に手数料です。約定代金の$0.7$%に$16,500$を足したものになりますね。

 $7,020,000×0.007+16,500$
$=65,640$

求める支払総額は約定代金$+$手数料ですから

$7,020,000+65,640=7,085,640$

となり,答えは ¥7,085,640となります。



次回からはさらに理解しづらい「複利計算」に入ります。
高段位に必須の問題達にチャレンジしましょう。